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毛髪中の有害金属分析

2012年11月14日更新

概要

 病気の診断や疫学調査のために、血液や尿を用いた成分分析が広く行われていますが、血液の採取は被験者の負担になることがあるため、被験者の負担を減らすための別の方法が期待されています。
 ここでは、被験者の負担が少ない毛髪を用いた有害金属(Cd、Pb、Cr、AsおよびSe)の測定事例を紹介します。

分析・試験方法

 多元素を同時に測定する方法として、試料をマイクロウェーブ分解し、ICP質量分析装置で測定する方法を選択しました。
 分析フローを図1に示します。

図1 分析フロー

 図1 分析フロー

分析・試験結果

 毛髪標準試料NIES CRM No.13および自社で採取した毛髪試料A、Bについて、上記の方法でCd、Pb、Cr、AsおよびSeの測定を行った結果を、表1に示します。

表1 有害金属測定結果

元素 NIES CRM No.13 毛髪A 毛髪B
保証値(括弧書きは参考値)
(μg/g)
測定結果(n=3) (μg/g) 測定結果
(μg/g)
測定結果
(μg/g)
添加試験結果
(μg/g)
回収率 (%)
Cd 0.23 ± 0.03 0.20 ± 0.02 0.01 < 0.01 4.5 97
Pb 4.6 ± 0.4 4.7 ± 0.1 1.3 0.63 5.5 105
Cr - 0.52 ± 0.09 < 0.1 < 0.1 4.7 99
As (0.10) < 0.2 < 0.2 < 0.2 4.8 103
Se 1.79 ± 0.17 1.75 ± 0.20 0.22 0.55 5.5 106

 標準試料の測定結果は良好でした。また、毛髪試料Bの添加回収試験結果も良好でした。

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