概要


材料評価のための元素吸着試験
2012年04月16日更新
概要
東北地方太平洋沖地震に伴い発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故により、さまざまな場所で放射性セシウムが検出され、日本全体の問題となっています。
放射性セシウムを除去する方法のひとつとして、吸着材で回収する手法があります。現在、ゼオライトをはじめとする、さまざまな材料が吸着材として検討され、一部は実際の除染現場で使用されています。
今回は、非放射性セシウムを添加した模擬海水を用いたラボレベルのセシウム除染試験を紹介します。
分析・試験事例
■ゼオライトのセシウム吸着能
汚染海水の除染の問題のひとつに、海水中に含まれるNaなどの他の化合物が除染の妨害になることが知られています。
ゼオライトとセシウム濃度1、10、100mg/LのNaCl溶液又は水溶液を密閉容器に入れ、振とう法によりセシウム吸着能の検証を行ないました。

図 NaClの有無によるセシウム濃度と吸着率
セシウム水溶液はいずれの濃度においても99%の吸着率を示しましたが、NaCl溶液の存在下ではセシウム濃度の上昇に伴い、吸着率が低下する傾向が見られました。
■ラボレベルのゼオライトのセシウム除染試験
カラムにゼオライトを充填し、セシウムを添加した模擬海水を用いて除染試験を行ないました。
セシウム濃度1000mg/Lの汚染模擬海水を一定速度でカラムに通過させ、流出液を一定時間ごとに採取し、セシウム濃度を測定し、破過曲線を作成しました。
破過曲線より、ゼオライトの除染可能な期間や、保持できるセシウム量等の検証を行なうことができます。
![]() 写真 カラム試験装置 |
![]() 図 ゼオライト破過曲線 |
![]() 写真 カラム試験装置 |
![]() 図 ゼオライト破過曲線 |
数百時間に及ぶロングスパンの試験、各種吸着材やご指定元素でのカラム試験に対応することができます。
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