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プルシアンブルーを用いたセシウム(Cs)の吸着試験

2012年08月27日更新

概要

 東北地方太平洋沖地震に伴い発生した原子力発電所の事故により、さまざまな場所で放射性セシウムが検出され、除染や保護のために種々のセシウム対策品が販売されるようになりました。なかでもセシウムを選択的に吸着するプルシアンブルーを利用した製品に注目が集まっています。
 今回は、プルシアンブルーを添加したマスクと、対照として活性炭を添加したマスクを用いてセシウム吸着能を比較評価した事例を紹介します。セシウム濃度はICP質量分析法により測定しました。

プルシアンブルーとは

プルシアンブルーは合成青色顔料で、別名紺青とも称されています。
 一般的な組成式はAyFe[Fe(CN)6]x・zH2O(Aはセシウムイオンなどの陽イオン)で、金属錯体や配位高分子の構造を持っており、内部にある空隙にセシウムを取り込むと考えられています。海水のようにナトリウムイオンなどの類似イオンの存在下でも、セシウムイオンを選択的に吸着する能力を持つ物質です。

試料

加工品 4層構造のうち1層目がプルシアンブルー加工したマスク
対照品 4層構造のうち2層目が活性炭加工したマスク

分析・試験結果

■セシウム吸着能の比較

 試料にセシウム水溶液(0.01mg/L)を添加し、浸とう法によりセシウム吸着能を測定しました。

図1 浸とう時間と吸着率

図1 浸とう時間と吸着率

 加工品(プルシアンブルー加工)は試験開始直後からセシウムの吸着が見られましたが、対照品(活性炭加工)は60分経過後もセシウムの吸着現象がほとんど認められませんでした。

■層別のセシウム吸着能の比較

 4層構造のマスクの各層にセシウム水溶液(0.005mg/L)を添加し、浸とう法により60分後のセシウム吸着能を測定しました。

図2 各層別の吸着率

図2 各層別の吸着率

 加工品については、プルシアンブルーを添加された1層目のみ顕著なセシウムの吸着が見られましたが、その他の層についてはほとんど確認されませんでした。 また、対照品については全ての層においてセシウムの吸着現象は見られませんでした。

今回ご紹介した事例は、セシウム対策向けの製品開発に伴う従来品や他社製品との比較評価試験に有効です。

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