background image background image

におい識別装置を用いた段ボールの臭気分析

2020年09月17日更新

概要

 「におい識別装置」は、センサー(半導体式ガスセンサ10種類より構成)を検出器に用いることで、試料に含まれる種々の臭気成分を分離することなく、複合臭(試料全体の臭気)の「におい強度」と「試料間類似度」を推定する装置です。
 人の嗅覚では判断が極めて難しい、試料間のわずかな臭気の差異を、「におい識別装置」によって数値化することで、客観的な評価が可能です。
 今回は、輸送・保管時の移染(におい移り)により異臭問題が発生しやすい段ボールを、「におい識別装置」で分析した事例をご紹介します。

試料

ダンボール バッグ内に段ボールを入れて50℃に加温後、室温で静置した臭気
ダンボール+活性炭 バッグ内に段ボールを入れて50℃に加温後、粒状活性炭を入れて室温で静置した臭気
前処理ブランク バッグのみを50℃に加温後、室温で静置した臭気
ダンボール

ダンボール

ダンボール+活性炭

ダンボール+活性炭

分析・試験方法

(1) 雑貨店で購入した段ボール容器(約20cm四方)を2等分に切断
(2) ポリエステル製バックに封入し、高純度窒素ガスを充填
(3) 50℃に設定した恒温槽内でバックを2時間加温
(4) 片方のバックには脱臭用に粒状活性炭を入れ、室温で24時間静置
(5) 空バックを同様に加温処理して、前処理ブランクとした
(6) 24時間後のバック内の臭気ガスを「におい識別装置」で分析
におい識別装置

におい識別装置

■分析装置 9種類(住友精化製、内面不活性処理ボンベ)
■標準ガス 9種類(住友精化製、内面不活性処理ボンベ)
 

表1  におい識別装置 検量線作成用 標準ガス

  系統 標準ガス 標準ガスの臭質
1 硫化水素 硫化水素 温泉のような、腐った卵のような
2 硫黄系 二硫化メチル 腐ったキャベツのような
3 アンモニア アンモニア し尿のような
4 アミン系 トリメチルアミン 腐った魚のような
5 有機酸系 プロピオン酸 刺激的な酸っぱい
6 アルデヒド系 ブチルアルデヒド 刺激的な甘酸っぱい焦げた
7 エステル系 酢酸ブチル 接着剤のような
8 芳香族系 トルエン ガソリンのような
9 炭化水素系 ヘプタン ロウのような

分析・試験結果

におい強度(臭気寄与と臭気指数相当値)

 「におい識別装置」による、段ボール試料の「におい強度」の推定結果を図1と図2に示します。
 図1の臭気寄与は、9系統(表1)のセンサー出力をもとに、各系統の臭気に対する人間の嗅覚感度を加味することで、試料の臭気における各系統の寄与度を示しています。
 図2の臭気指数相当値は、図1の臭気寄与の合算値より算出された、複合臭の「におい強度」を示す指標値です。
 図1の臭気寄与、図2の臭気指数相当値は、両指標ともに段ボール試料で明確に高い分析結果となり、段ボール試料より感じる微かな臭気を、「におい識別装置」が捉えていることが判ります。
 また段ボール+活性炭の臭気寄与および臭気指数相当値は、全系統で原臭の段ボール試料から大幅に減衰している様子が伺えました。

図1 臭気寄与

図1 臭気寄与

図2 臭気指数相当値

図2 臭気指数相当値

図1 臭気寄与

図1 臭気寄与

図2 臭気指数相当値

図2 臭気指数相当値

試料間類似度(%)

 「におい識別装置」による、各試料の試料間類似度(%)を、図3と表2に示します。
 段ボール+活性炭の臭気ガスは、原臭である段ボール試料との類似度が高く、前処理ブランクとの類似度は低いことが示されました。

 以上から、段ボール+活性炭の「におい強度」は、原臭の段ボール試料から大幅に減衰した一方で、「試料間類似度(%)」から推察される臭気の組成・質方向については、原臭からさほど変化が無いことが推察されました。

図3 試料間類似度

図3 試料間類似度

表2 試料間類似度(%)

  段ボール 段ボール+活性炭 前処理ブランク
段ボール 100 68.5 25.4
段ボール+活性炭 68.5 100 35.6
前処理ブランク 25.4 35.6 100

 当社では、におい識別装置・クロマト技術・官能試験の組み合わせで、においやかおりを総合的に評価します。
 製品評価、異臭問題などでお困りの際は、ぜひ当社にお問い合わせください。
 業務案内 「におい・かおり評価」 もご覧ください。

関連情報