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ICPタンデム質量分析装置(ICP/MS/MS)による有機溶媒中不純物元素の測定
■はじめに
  半導体や化成品の製造現場では、使用する溶媒の不純物元素濃度を管理することが非常に重要です。微量の不純物元素を定量する方法としてICP質量分析法(ICP/MS)が広く用いられていますが、自然界に多く存在するカルシウム(Ca)やけい素(Si)などの軽元素に対しては、感度が不足する場合があります。
 当社では、ICP/MS/MSに様々な有機溶媒を直接導入して測定する体制を整えています。この方法では、澄明な液体であれば煩雑な前処理なしで測定することが可能なため、リードタイム短縮と操作ブランク低減による高感度化が期待できます。また、MS/MSを用いることで、軽元素測定における干渉除去、感度向上も期待できます。
■有機溶媒直接導入法の仕組み
 ICP-MS(/MS)は、アルゴンプラズマ内にエアロゾル化した試料を導入することで、目的とする元素をイオン化して測定する質量分析装置です。試料が有機溶媒の場合は、プラズマのエネルギーの多くが溶媒の灰化に使われるためプラズマが不安定となり、イオン化効率の低下や煤(すす)の発生による導入系の目詰まりなどが起こります。
 そこで、アルゴンガスにあらかじめ少量の酸素を混合し、有機溶媒の灰化が充分行われるシステムを導入しました(図1)。
  有機溶媒直接導入時のプラズマトーチ
  図1 有機溶媒直接導入時のプラズマトーチ
 
■イソプロピルアルコール(IPA)中不純物元素の測定
 ICP-MS/MSの高感度モードと有機溶媒導入システムを組み合わせ、IPA中10元素の測定を行いました。
 標準添加法による検量線の1例(Ca)と、定量結果を以下に示します(図2、表1)。
 いずれの元素も、1ppbを下回る濃度まで定量することができました。
 
標準添加法 Ca検量線
図2 標準添加法 Ca検量線
              表1 IPA測定結果
元素 IPA測定結果
ng/mL(ppb)
Na 0.22
K 0.12
Mg 0.04
Ca 0.34
Al 0.14
Fe 0.14
Cd <0.01
Pb <0.01
Cu 0.03
Zn 0.02

2017.2.20
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