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マルチディメンジョナルGC/GCMSを用いたにおい嗅ぎ分析
 近年、”におい”に対する社会的な関心が高く、製品や食品に限らず室内環境も含め異臭苦情は増加しています。一般に臭気物質の評価は、官能試験や特定悪臭物質分析に機器分析法が用いられます。
 一方、異臭原因物質の特定にはGC/MS 法が用いられ、異臭の有り無し試料で違いのあるピークを探し出し、異臭原因物質の特定をおこなったりします。
 しかしながら様々な物質において、”においの強度”と”GC/MSのピーク強度”の間には相関はありません。そのため、におい嗅ぎ-GC/MSを利用することで、人による”においの確認”が可能となり、原因物質のピークが特定でき、より確度の高い異臭原因物質の特定分析が可能となります。
 さらにGC分離を高めたマルチディメンジョナルGC/GCMS法を採用することで、重なったピークなどの分離を行い、単一な異臭成分として評価することが可能となります。
 本システムでは2種類のカラムを組み合わせ、1段目のカラムで分離できなかったフラクションをハートカットし、性質の異なる2段目のカラムに導入してさらに詳しく分離を行います。
 室内空気に模擬臭い物質を添加して、におい嗅ぎ分析を行った例を紹介します。
■加熱脱着-マルチディメンジョナルGC/GCMS-におい嗅ぎ装置(TD- MDGC/GCMS-O)分析条件
  使用機器    
    加熱脱着オートサンプラー TD-20(島津製作所)
    ガスクロマトグラフ/質量分析装置 MDGC/GCMS-QP2010Ultra(島津製作所)

  分析条件    
    1stカラム GC部
 使用カラム
Rxi-5Sil MS(Restek) 0.25mm×30m,df.0.25μm
    2ndカラム GC部
 使用カラム
InertCap Pure-WAX(GLサイエンス) 0.25mm×30m,df.0.25μm
    MS部(SCAN)    
     イオン化法 EI法
     イオン化電圧 70eV
     イオン源温度 220℃

  測定試料
    実験室内空気 10L + カビ臭物質添加(2-メチルイソボルネオール: 2-MIB)

 
■分析結果
  1stカラムでの分析結果
    保持時間 14.58分 カビ様臭を確認(臭気強度=3)しました。しかし、ピークの立ち上がり部分に小さなピークが存在しているため、ライブラリー検索の際に正しいフラグメントパターンが得られません。

  図 GC/MS分析結果 TICクロマトグラム
  図 GC/MS分析結果 TICクロマトグラム

  図 拡大TICクロマトグラフ
  図 拡大TICクロマトグラフ

  図 ピークNo.1 のMSフラグメント
  図 ピークNo.1 のMSフラグメント

  図 ライブラリー検索結果
  図 ライブラリー検索結果

 

  カビ様臭が認められたピーク付近(保持時間14.45〜14.65分)をハートカットし2ndカラムに導入し、さらに分離を行うことにしました。

  2ndカラムでの分析結果
    2ndカラムでは夾雑ピークと分離され、単一ピークとして確認されました。また、保持時間 32.48分にカビ様臭を確認することができました。このピークをライブラリー検索した結果、2-メチルイソボルネオール: 2-MIBが確認できました。

  図 MDGC/GCMS分析結果 TICクロマトグラム
  図 MDGC/GCMS分析結果 TICクロマトグラム

  図 ピークNo.1 のMSフラグメント
  図 ピークNo.1 のMSフラグメント

  図 ライブラリー検索結果
  図 ライブラリー検索結果

  以上の結果より、
  1. シングルカラム(1stカラム)により推定されたにおい候補物質について、MDGC/GSMSシステムを用いて2次元分離(2ndカラム)に導入することで、良好な結果が得られ、ライブラリー検索結果の確度も向上しました。
  2. 近接したピークが存在する場合、スニッファー部とMS部のわずかな保持時間のずれにより、におい候補物質の判断が難しいのですが、2ndカラムで夾雑成分との分離性能が上がり、判別の確度が向上しました。

    表 段階臭気強度表示法
 
  0 無臭
  1 やっと感知できるにおい(検知閾値濃度)
  2 何のにおいであるかがわかる弱いにおい(認知閾値濃度)
  3 楽に感知できるにおい
  4 強いにおい
  5 強烈なにおい