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食品中のダイオキシン類分析について

概要

 ダイオキシン類は、廃棄物の燃焼過程や化学反応過程などにおいて非意図的に生成される化学物質で、毒性が強く急性毒性・発ガン性・催奇形性・免疫毒性および生殖毒性などについて、その影響が報告されています。また、環境中では非常に安定であり、発生源はもとより、生活環境・生物・食品などに微量残留していることが知られています。

 当社は、食品中のダイオキシン類分析においても、高度な技術レベを有しており、食事試料や畜産物(牛肉、豚肉、鶏肉、牛乳など)中のダイオキシン類分析についての大規模実態調査を受託するなど、豊富な実績があります。また、食品中のダイオキシン類分析について、環境省が実施する「ダイオキシン類請負調査受注資格審査」を保有するとともに、国際的に通用する試験所認定であるISO/IEC 17025の認定を取得し、Norwegian Institute of Public Health (Oslo, Norway)が主催する食品中のダイオキシン類の国際クロスチェックにも継続的に参加するなど、国内屈指の精度管理レベルを有しています。
 食品中のダイオキシン類の分析については、当社にお任せください。

 当社では、測定可能な媒体は食品試料だけでなく、大気、環境水、土壌、底質、排出ガス、排出水、灰、水道水などの環境試料、血液、母乳、臍帯などの生体試料、生物試料や化製品試料と多岐にわたります。ほかの媒体については以下をご参照ください。

ダイオキシン類 https://www.shimadzu-techno.co.jp/annai/env/k01_01.html

法規制・規格

■各種基準 (食品試料)

 食品中のダイオキシン類については、国内では個別の基準は示されていません。海外(EU)における主な基準値を以下に示します。

食品 最大濃度
PCDD,PCDFの合計 *1 (WHO-PCDD/F-TEQ)

PCDD,PCDF,DL-PCBの合計*1
(WHO-PCDD/F-PCB-TEQ)

PCB28, PCB52, PCB101, PCB138, PCB153, PCB180 の合計
5.1 以下の動物の肉及び肉製品(内臓を除く)
-牛、羊
-家禽類
-豚

2.5 pg/g fat *2
1.75 pg/g fat *2
1.0 pg/g fat *2

4.0 pg/g fat *2
3.0 pg/g fat *2
1.25 pg/g fat *2

40 ng/g fat *2
40 ng/g fat *2
40 ng/g fat *2
5.2 陸生動物 (5.1)の肝臓及び肝臓由来製品 4.5 pg/g fat *2 10.0 pg/g fat *2 40 ng/g fat *2
5.3 魚の筋肉部、水産物及び加工品 (天然ウナギ、天然淡水魚、魚肝臓及び肝臓由来製品、海洋性油脂を除く )、甲殻類 (腹部及び付属肢の筋肉 ) 3.5 pg/g wet weight 6.5 pg/g wet weight 75 ng/g wet weight
5.4 天然淡水魚の筋肉部(回遊性魚類を除く)及び加工品*3 3.5 pg/g wet weight 6.5 pg/g wet weight 125 ng/g wet weight
5.5 天然ウナギ ( Anguilla anguilla)の筋肉部及び加工品 3.5 pg/g wet weight 10.0 pg/g wet weight 300 ng/g wet weight
5.6 魚肝臓及び肝臓由来製品(5.7の海洋性油脂を除く) 20.0 pg/g wet weight 200  ng/g wet weight
5.7 海洋性油脂 (魚油、肝油、その他 ) 1.75 pg/g fat 6.0 pg/g fat 200 ng/g fat
5.8 乳及び乳製品 (バターを含む ) 2.5 pg/g fat*2 5.5 pg/g fat*2 40 ng/g fat*2
5.9

鶏卵及び卵製品

2.5 pg/g fat*2 5.0 pg/g fat*2 40 ng/g fat*2
5.10 以下の動物の油脂
-牛、羊
-家禽類
-豚

2.5 pg/g fat
1.75 pg/g fat
1.0 pg/g fat

4.0 pg/g fat
3.0 pg/g fat
1.25 pg/g fat

40 ng/g fat
40 ng/g fat
40 ng/g fat
5.11 混合動物性油脂 1.5 pg/g fat 2.50 pg/g fat 40 ng/g fat
5.12 植物性油脂 0.75 pg/g fat 1.25 pg/g fat 40 ng/g fat
5.13 乳幼児用食品 0.1 pg/g wet weight 0.2 pg/g wet weight 1.0 ng/g wet weight
*1 最大濃度:検出下限未満の異性体濃度は検出下限値として計算
*2 脂質2%未満の場合は適用する基準値は、試料全量あたりの最大濃度 = 脂肪重あたりの最大濃度×0.02
*3 魚全体を食するものは魚全体を適用

 国内の分析マニュアルでは、食品中のダイオキシン類の分析結果は湿重量あたり(wet weight)で計算し、毒性等量の算出にあたっては、検出下限未満の異性体濃度は「0」として計算しますので、EUの算出方法とは異なります。従ってEUの基準値で評価するご要望があれば、ご相談ください。

 食品以外に、飼料中、飲料水中、土壌中、農薬中のダイオキシン類の分析など、食品中のダイオキシン類濃度への原因究明や影響を確認するための種々の分析の提案・対応が可能です。お気軽にご相談ください。

■国内における最新動向

 日本においては、食品中のダイオキシン類についての基準値は設定されていませんが、耐容一日摂取量(人が一生涯、継続的に摂取した場合に、健康に悪影響を及ぼすおそれがないと推定される1日当たりの摂取量)が設定され、農林水産省、厚生労働省、環境省において、日本の食品中に含まれるダイオキシン類についての研究や実態調査が行われています。直近の食品からのダイオキシン類の一日摂取量は、平均0.51pg-TEQ/kg bw/日と推定され、この数値は耐容一日摂取量の4pg-TEQ/kg bw/日を下回っています。

※これらの結果には、当社が受託分析した結果も使用されています。 

分析・試験方法

当社は食品中や飼料中のダイオキシン類分析について以下のマニュアルに準拠した分析が可能です。

「食品中のダイオキシン類の測定方法 暫定ガイドライン」(平成20年2月 環境省)
「飼料中のダイオキシン類の定量法暫定ガイドライン 」

(平成16年11月24日付け消安第5299号農林水産省消費・安全局衛生管理課長通知、平成20年7月1日改訂)

実績

・  当社は、国内最大数の高分解能GC-HRMSを有し、ダイオキシン類の分析法開発黎明期当初から長年(35年以上)ダイオキシン類の分析にたずさわってきました。そして、ダイオキシン類についてあらゆる試料・目的の分析に対応できる機関として、国内外から高い評価を得ています。
・  食品試料の分析は、食品の性状等に合わせた試料調製等が必要です。当社は、省庁等における食品分析を数多く受託しており、こうした技術や経験を有しています。
・  食品試料については、(1)環境省の「ダイオキシン類請負調査受注資格審査」において「食品」及び「食事試料」について受注資格を有している、(2)食品中のダイオキシン類の定量分析についてISO/IEC17025の試験所認定を取得しているなど、国内屈指の精度管理レベルを有しています。

関連情報

2020.11.30 212