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コーヒー粒子のゼータ電位・粒子径のpH依存性

2011年08月25日更新

概要

 ゼータ電位は、粒子間の引力または反発力の尺度となるもので、懸濁液やエマルション粒子の分散安定性の指標として広く利用されています。 ゼータ電位の絶対値が増加すれば粒子間の反発力が強くなり粒子の安定性は高くなります。
 逆に、ゼータ電位がゼロに近くなると粒子は凝集しやすくなり沈降や相分離状態になります。 このゼータ電位に最も大きな影響を与えるといわれているのがpHです。
 試料として缶コーヒー粒子(ブラック)を用い、ゼータ電位と粒子径のpH依存性について測定した事例を紹介します。

試料

 缶コーヒー(ブラック)を純水で希釈したものを測定試料としました。

分析・試験方法

 測定試料にHClと NaOHを添加してpHを調整し、ゼータ電位と粒子径を測定しました。 

粒子径 動的光散乱法(光子相関法)
ゼータ電位 レーザードップラー電気泳動法

分析・試験結果

 缶コーヒーのpHタイトレーション測定結果を下記に示します。

結果

 このコーヒー粒子の等電点(pH 2.3)付近では粒子が凝集し、粒子径が大きくなっているのが分かります。
 一方、pH 5.0以上の領域では、ゼータ電位の絶対値が大きく、粒子径も小さいことから、粒子の分散が安定していることが分かります。

(写真1)pHを調整した缶コーヒーの外観

(写真1)pHを調整した缶コーヒーの外観

 写真1に示すようにpH調整後2時間静置した試料は左側(pH2.6)は凝集・沈降していますが、右側(pH6.0)は粒子が分散していることがわかります。 

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