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バイオディーゼル燃料の性状試験
−JIS K 2390に基づくバイオディーゼル燃料の性状試験を受託しています−


■概要

バイオディーゼル燃料をはじめとするエコ燃料は、エネルギー起源CO2 の排出を伴わない再生可能なエネルギーであるため、温暖化対策の切り札として注目を集めています。日本では、2006年3月に「バイオマス・ニッポン総合戦略」が見直され、これらのエコ燃料の利用促進にむけて、関連省庁(環境省、経済産業省、農林水産省、国土交通省、総務省など)が協力して必要な環境を整備することとなっています。また、京都市をはじめとする地方公共団体や企業においては、国に先行して地域レベル・企業レベルでの取り組みが活発化しています。

私共の本社がある京都市では、「環境への負荷の少ない持続可能な街をつくる」ことを目的とし、使用済みの食用油を回収しバイオマスエネルギーとして有効利用するバイオディーゼル燃料化事業に取り組んでいます。
当社は、当初からこの京都市のバイオディーゼル燃料化事業に関わり、技術検討会の協力委員として分析技術の検討を担当するなど、バイオディーゼル燃料の性状試験に関する豊富な技術と経験を有しています。
バイオディーゼル燃料の(B5は対応できません)性状試験及び品質評価は当社にお任せください。


1.バイオディーゼル燃料とは

バイオ由来燃料として注目されているバイオディーゼル燃料(BDF;BioDieselFuel)は、今のところ厳密に化学的な定義はなく、一般的に、パーム油、廃食用油等の油脂を化学処理して製造し、ディーゼル自動車用燃料等として使用するものを指してます。
油脂は粘度が高い等の物性的な背景から、そのままディーゼル自動車用燃料として使用することができません。
そのため、ディーゼル自動車用燃料として使用するために、メチルエステル化などの化学処理を施し、脂肪酸メチルエステル(FAME;Fatty Acid Methyl Ester)等の軽油に近い物性に変換したものがディーゼル車用燃料として使用されています。

メチルエステル化

メチルエステル化
バイオディーゼル燃料は、多様な物質の混合物であること、製造過程の違いから、製品ごとに性状が大きく異なっています。そのため、燃料品質を把握するための性状試験は欠かせません。

BDFとは

[ 経済産業省 総合資源エネルギー調査会第21回燃料政策小委員会 配布資料4-1より引用 ]



2.バイオディーゼル燃料の製造法

 バイオディーゼル燃料の製造は例えば次のように行います。まず回収されて夾雑物を除いた廃食油原料を加熱しながらKOHなどのアルカリ金属触媒の存在下でメタノールを反応させて、脂肪酸メチルエステルとグリセリンとに分解させます。次に、洗浄水で不要なグリセリン、メタノール、KOHを取り除き、純度の良い脂肪酸メチルエステルにする事で得られます。話を簡単にするために原料が全てトリオレイン(脂肪酸であるオレイン酸のトリグリセリド)で構成されているとする仮定しますと、次のような化学式で表せます。


バイオディーゼル燃料の製造法

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■FAME品質の規格

1.背景

 平成18年4月26日、総合資源エネルギー調査会石油分科会石油部会の規格検討ワーキンググループでバイオディーゼル燃料の規格案が示されました。“揮発油等の品質の確保等に関する法律”の省令に基づく強制規格として5%BDF混合軽油を位置づけ(FAME混合軽油強制規格)、100%BDFについての規格(ニート規格)はJIS化などを目指していました。
経済産業省ニート規格案へ
>>

その後、平成18年10月、100%BDFについての規格がJASO(社団法人自動車技術会)により規格化(JASO M 360)されました。
この規格は、FAMEを軽油(B0)に質量分率5%以下の割合で混合した燃料(B5)を既販車も含めたディーゼル車に適用した場合に、安全性、排出ガス性能などの悪化を招くことなく、従来の軽油(B0)と同様に使用できるようにするために、燃料への混合用FAME品質規定のために制定されました。
JASO M 360へ
>>

2.JIS規格

 経済産業省・総合エネルギー調査会・石油部会燃料政策小委員会において、FAME導入に向けての検討がなされ、軽油(B0)に混合して既販車に用いた場合でも安全性、環境面に問題のない品質を確保する方法が議論されました。2005年の第19回燃料政策小委員会において、“品質規制のありかた”及び“安全性、環境面からの確認試験の計画”が示されました。これらの検討結果を踏まえ、2006年第21回燃料政策小委員会において、“揮発油等の品質の確保等に関する法律”の省令を改正し、FAMEを質量分率5%以下の範囲で混合した軽油(B5)の品質規定を新たに設けることが示されました。混合軽油(B5)の品質を確保する上で、混合すべきFAMEの性状を明確に規定しておく必要があることから、混合用のFAME品質のJIS規格を制定することとなり、JASO M 360を基に工業標準原案が作られ、“JIS K 2390”となりました。

燃料政策小委員会では、バイオディーゼル燃料(以下、BDFという。)として検討が始められましたが、欧州を参考に検討し、対象をFAMEに限定してきました。BDFといった場合には、広義には、生物系の原料から作られたディーゼル機関に使用可能な燃料全般を指しますが、欧州においては、FAMEだけを対象としており、近い将来に日本において脂肪酸のエチルエステルなどが導入される可能性が低いことから、FAMEに限定したようです。従って、JIS規格においても対象をFAMEとしています。


(参考)欧州統一規格について>>

 
■注目すべきと考えられる性状について
 脂肪酸メチルエステル(FAME)は、軽油に比べて、ゴム・樹脂を膨張・劣化させる、また、熱の影響により酸やスラッジ(固まり)を発生し品質が劣化しやすい、等の化学的特長を有している点に留意する必要があります。
それらの影響を把握するために注目すべき性状は以下のとおりです。


燃料性状 特有性状 燃料・エンジン特性
密度 メタノール
燃料噴射量
動粘度 遊離脂肪酸(酸価)
グリセリド類
飽和脂肪酸ME組成
燃料霧化、潤滑性
残留炭素 グリセリド類 発煙、燃焼・排出性能
引火点 メタノール 危険物類別、排気成分
流動点
曇り点
目詰まり点
飽和脂肪酸ME組成
グリセリド類
低温流動性
硫黄分 - 排出ガス組成、腐食
灰分・硫酸 金属(Na、K) 金属(Ca、Mg) 磨耗、目詰まり
  リン ガム質、目詰まり
水分 - 錆、目詰まり
  夾雑物 目詰まり
銅板腐食 遊離脂肪酸(酸価) 腐食
セタン価 飽和脂肪酸ME組成 アンチノック
酸化安定度 不飽和脂肪酸ME量(ヨウ素価)
リノレン酸ME
多価不飽和脂肪酸ME
酸化安定性、保存安定性

 
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■当社の性状試験項目
JIS K 2390に基づく性状分析を行っています。
当社ではB5には対応しておりませんのでご了承ください。
NO. 試験分析項目 必要試料量(ml) 試験方法 表示単位 測定目的
1 密度(15℃) 50 JIS K2249
g/ml 性状代表値
2 動粘度(40℃) 100 JIS K2283 mm2/s 流動性
3 引火点(PMCC) 50 JIS K2265 燃料特性
4 硫黄分 50 JIS K2541 ppm 不純物量
5 10%残留炭素(減圧ミクロ) 500 JIS K2254減圧/JIS K2270 残留炭素量
6 セタン価 5000 JIS K2280 着火性の目安
7 硫酸灰分 200 JIS K2272 硫酸灰分
8 水分 10 JIS K2275 ppm 不純物量
9 夾雑物(固形不純物) 800 EN 12662 ppm 不純物量
10 銅板腐食 50 JIS K2513 (3h@50℃) 変色番号 金属腐食の目安
11 酸化安定度 20 EN 14112
(参考として酸化安定度『ランシマット法』のご紹介へ)
hr 品質性状安定性
12 酸価 50 JIS K2501 mgKOH/g 品質性状安定性
13 ヨウ素価 10 JIS K0070 gI/100g 不飽和脂肪酸量
14 FAME量(エステル量) 10 EN 14103準拠 品質性状安定性
リノレン酸ME 10 EN 14103準拠 酸化安定性の目安
脂肪酸組成(17成分) 10 GC-FID法 相対% 低温安定性及び酸化安定性の目安
飽和脂肪酸組成 10 GC-FID法 相対% 低温安定性の目安
15 メタノール 10 EN 14110準拠又は
GC-FID法
不純物量
16 モノグリセリド 10 EN 14105準拠又は
ASTM D6584準拠
不純物量
17 ジグリセリド 不純物量
18 トリグリセリド 不純物量
19 遊離グリセリン 不純物量
20 全グリセリン 不純物量
21 金属類(Na+K) 10 EN 14108、14109準拠又は
EPA method準拠
ppm 不純物量
22 金属類(Ca+Mg) 10 EN 14538準拠又はICP-AES法 ppm 不純物量
23 リン 10 EN 14107準拠又はICP-AES法 ppm  
24 流動点 100 JIS K2269 流動化最低温度
25 目詰まり点(CFPP) 100 JIS K2288 フィルター低温つまり
26 曇り点 50 JIS K2269 固形物析出最低温度
27 真発熱量 50 JIS K2279 附-2 J/g  
ME:メチルエステル FAME:脂肪酸メチルエステル
■酸化安定度『ランシマット法』のご紹介
1.酸化安定性について
バイオディーゼル燃料は、軽油に比べて、熱や酸素の影響により酸やスラッジを発生し使用車両への不具合を引き起こしやすいという化学的特徴があります。従って、こうした酸化による影響(酸化安定性)を把握することは必要不可欠です。当社では、ヨーロッパの規格(EN14112)で定められているランシマット法をいち早く導入しています。

2.ランシマット法とは
ランシマット法は、試料約3gを反応容器に入れ、110℃に加熱しながら、その中に清浄空気を送り込み、揮発性分解物を水中に捕集し、捕集水の導電率が急激に変化する折曲点までの時間(誘導時間)を測定します。すなわち、試料であるバイオディーゼル燃料の酸化により生成する分解生成物量(ギ酸や酢酸が主成分と考えられます。)の経時変化を測定することにより、誘導時間を決定します。この値は、バイオディーゼル燃料の酸化に係る他のパラメーター(過酸化物価、動粘度、酸価等)との連関性が認められており、酸化安定性を評価するのによい指標であるといえます。ヨーロッパの規格(EN14112)では、この方法による基準値は6時間以上とされています。

測定装置
温度調節可能範囲 50〜220℃
流量設定範囲 7〜25L/hr




測定装置(Metrohm社 743 Rancimat)

3.測定例
以下に、測定結果例を示します。横軸が時間(h)で、縦軸が導電率(μS/cm)です。酸化による導電率変化を時間と共に測定し、赤線で示す急激に変化した点(この例では6.55h)を誘導時間とします。酸化安定性はこの誘導時間が長いほど良い結果となります。


測定例
図 誘導時間の測定例