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学会発表

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the 38th International Symposium on Halogenated Persistent Organic Pollutants -Dioxin 2018- 参加報告
  高菅卓三
ポーランド、クラクフ(Kraków)でDioxin2018国際会議 the 38th International Symposium on Halogenated Persistent Organic Pollutants (POPs) & 10th International PCB Workshopが開催されました。東欧では初めての開催です。
また今回は隔年で開催されている第10回PCBワークショップとの合同開催でした。
dxn2018_logo

開催期間:2018年8月26日〜8月31日
開催場所:ポーランドKraków、ICE Kraków Congress Centre
関連情報:http://dioxin2018.org/ をご覧ください。
なお過去の会議情報は以下で閲覧可能です。
http://www.dioxin20xx.org/
【本国際シンポジウムの概要】
本会議は1980年から毎年開催されているハロゲン化残留性有機汚染物質(POPs)に関する国際シンポジウム (International Symposium on Halogenated Persistent Organic Pollutants)で通称“Dioxin 20##”と呼んでいます。
例年は40以上の国から800〜1000名ほどの研究者が参加します。
スポンサーも30以上と、POPsに関する最大級の国際シンポジウムとなっています。

今回のChairはProfessor Jerzy Falandysz(Laboratory of Ecotoxicology & Environmental Chemistry, University of Gdansk)、Co-ChairはPCB Workshopの主催者である Professor Larry Robertson (Department of Occupational & Environmental Health College of Public Health, The University of Iowa)。ChairmanのFalandysz教授は日本の研究者とも交流が深く、筆者も含め多くの日本の先生方もScientific Committeeメンバーとしてセッションの座長をされていました。
開場
学生セッションをPre-Dioxin Students Session “All POPs & Pseudo-POPs”としてJagiellonian University(1364年創立)で土曜日に開催し、日曜日の午後からのスポンサー企業セミナーや会議開催期間中のランチョンセミナーなどが企画されました。
今回は企業からの参加やサポートにも重点を置き、POPs関連のあらゆる研究分野における企業関係者も取り込み(分析装置・機器、規制、ばく露試験評価、毒性分野など)、POPs汚染や規制・制御などに関しては境界が無いことを強調していました。

今回は、発表演題数617題(口頭414、ポスター203)と、昨年のバンクーバー(590題)より多く、PCBワークショップの同時開催(口頭39、ポスター4)による効果もあったものと思われます。 事前登録の参加者は、7月上旬時点で総数676人、その後の最終参加者は700名を超えていると思われます(正式には9月末に開示される見込み)。
国別の参加者数は、中国が当日100名を超え、初めて日本の参加者を超えました。次いで日本が約100、米国が約70、ドイツが約50、ポーランド、スウェーデンが約40、カナダが約30、ノルウェー、イタリア、韓国、英国、ベルギー、チェコ共和国、オランダが約20、スペイン、フランス、台湾、デンマークが約10-20、スロバキア、オーストラリア、ブラジル、ベトナム、スイス、アイルランド、インド、タイが約10名以下となっていました。アフリカ諸国からの参加者も増加しています。
最近のDioxin国際シンポジウムでは、特により若い世代(StudentsとResearchers)に対して積極的に発表や研究を支援する体制を前面に出し、ハイライトセッションでも学生セッションからの発表も企画されました。

 【基調講演】
基調講演は、以下の6題でした。
1. Beate Escher ; Helmholtz Centre for Environmental Research - UFZ (Leipzig) : “Bioanalytical tools for the assessment of mixtures of organic micropollutants in water, sediment, biota and people”.
2. Kurunthachalam Kannan & Nobuyoshi Yamashita ; State University of New York (Albany) & National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, AIST (Tsukuba) : “An update on legacy and emerging perfluoroalkyl substances”.
3. Keri Hornbuckle ; The University of Iowa (Iowa City) : “Emissions of Legacy and non-Legacy PCB congeners to air of homes and schools”.
4. Larry Robertson ; The University of Iowa (Iowa City) : “Hepatic effects of halogenated biphenyls”.
5. Richard Hull ; University of Central Lancashire (Preston) : “The effect of fire retardants on smoke toxicity”.
6. Martin Rose ; Manchester University (Manchester) : “Dietary exposure, risk assessment and regulation for legacy and emerging POPs”.

【セッション】主なキーワード
以下にセッションごとの発表数を集計した情報を示します。
Special Sessions として5つ、特にこれらは今後のトレンドとしても重要なものと考えられます。
一般発表は35の各セッションに細分化され、POPs研究に関するあらゆる分野における発表が盛り込まれています。
詳細は以下のサイトをご参照ください。
http://dioxin2018.org/abstracts/general-informations/

特別セッション中のEFSA Special Session: EFSA risk assessments of persistent organic pollutants in food and feedでは、EFSA((European food safety authority) ; 欧州食品安全機関)が、PFOS/PFOAのTDI, TWI耐用(1日/週間)摂取量の見直しを提言し、欧州でのPOPsの食品汚染に関心が高いことがわかります。また、有機フッ素化合物(PFCs)に関するセッション(Legacy and Emerging Fluorinated Organic Compounds-Update)の発表が非常に多かった印象です。
分析や計測技術に関するセッションとしては、昨年に続きMS分析技術の進展に関連し、網羅分析、ノンターゲット分析の最新技術、TofMS、OrbitrapMS 分析技術の他、ハイスループット分析、生物検定法、精度管理、前処理自動化技術、スクリーニング分析、高感度、高分解能がテーマの発表が多数ありました。

対象物質はDioxin 以外のPOPs関連化学物質へと明確に広がっています。
pseudo-POPs(疑似POPs)としてのPPCPs、あるいは類似の性質を有するmethylsiloxanesや有機金属化合物(有機スズ、有機ヒ素、水銀)を対象としたセッションもありました。
ハイライトセッションで、Stuart Harrad (University of Birmingham)教授は、従来のPOPsだけではない対象化学物質の広がり(臭素系難燃剤の代替物質、PFASの代替や炭素鎖の短い有機フッ素化合物(PFCs)等)の他、暴露リスク評価の難しさが増加している点、塩素化パラフィンの発表の増加などを指摘していました。また、PCBの室内環境汚染(他の発生源)、臭素系難燃剤入りのプラスチックのリサイクルの課題、網羅分析なども、発表数が増加した主なトピックでした。

筆者自身は、以下の口頭発表とポスター発表の各1件の発表を行いました。
また、" Sampling, Preparation and Detection "セッションの座長を担当しました。
今回の座長はセッションによっては朝から夕方までと長時間に及ぶケースもあり、座長への負担もかなり大きかった事が課題と思われました。

  口頭 Hexachlorobutadiene (HCBD) as predominant POPs in Ambient Air : all POPs
   levels and trends at frequent monitoring super-sites of Japan ; Takasuga T
   Nakano T, Shibata Y
  ポスター Evaluation of Orbitrap GC-MS for Dioxins & POPs analysis ;
   Takemori H, Matsushita T, Tsujisawa Y, Inoue T, Takasuga T
会議の様子
会議の様子(筆者発表)

セッションと発表演題数(プログラム集より集計)
 


【ポーランドの古都クラクフ(Kraków)について】
今年はポーランドが第一次世界大戦後のベルサイユ条約(1919年)で独立国家となって100周年にあたります。
クラクフ(Kraków)はポーランドの旧首都であり約550年間に渡ってポーランド王国の首都として栄えた街で、首都のワルシャワに続く第2の都市となっています。およそ76万人の人口でその内学生が25万人を占めています。ChairのFalandysz教授はKrakowは「ポーランドの京都」のようなところと例えられていました。
クラクフ(Kraków)の街は、1241年、タタール人によりほぼ完全に破壊された後再構築されました。カジミエス王(Kazimierz the Great)が街を守ることを決め、要塞、ヴァヴェル城(Wawel Royal Castle)が建築されました。14世紀が最も栄えた次期で、中世から近世の中・東欧で最も栄えたようで、旧市街地では中世の町並みが残っておりとても綺麗です。17世紀初頭から首都はワルシャワへ移り次第に衰退していきました。第二次大意戦中はドイツ軍の司令部がおかれたおかげで、旧市街地の破壊が免れ、建物が多く残っています。またアウシュビッツは西へ50km程度の距離にあります。

旧市街地区は1978年にはユネスコの世界遺産に登録されています。
ヴァヴェル城はゴシックルネッサンス様式のお城で、16世紀まで、歴代ポーランド国王の居城であり、また戴冠式がとりおこなわれた場所です。
敷地内には大聖堂や旧王宮、王の墓など、歴史的な建造物が数多くあります。中央広場(Rynek Glowny)は中世時代の姿をそのまま残している広場としてはヨーロッパ最大の規模(総面積4万m2)を誇っており、多くの人が集まり、多くのお店や教会が周りを囲んでいます。
周辺のカフェやレストランではテラス席を出しています。

会議の様子
会議の様子 広場の周辺には旧市庁舎の塔Wieza Ratuszowa、織物会館(Sukiennice)、聖マリア教会(Kosciot Mariacki) の塔などの迫力のある建物が並びます。華やかに飾られた馬車と馬を操る御者はほとんどが女性。数多くのレストラン、博物館、歴史的建造物、カジミエシュ(Kazimierz)地区(ユダヤ人街)、劇場、その他の観光スポットが徒歩圏内にあります。
Krakówは観光客にとって非常に魅力的で、広大な歴史的な旧市街は多くの観光客で特に夏は混雑しています。また、物価が安いのも特徴です。
会議は朝早くから始まりますが、旧市街は夜遅くまでレストランが開いていて、会議中は、連日、ハードな長い一日となりました。

【その他】
筆者はこの会議(Dioxin 20##)に28年以上も参加し、参加者の中では古株ではありますが、海外からは年配の重鎮も参加されており、科学に対するする真摯な取り組みが感じられます。
この会議では、国内外の研究者とのネットワークも多数でき、最新の研究内容等の情報交換を行うことができます。特に最近は国内からの若い参加者も増え少しずつ世代交代も進んでいるようです。
今後も、グローバルネットワークを通じた国際的な活動、共同研究支援や人的ネットワークの構築維持拡大などに努めたいと考えております。
来年のDioxin2019は京都の国立京都国際会館(Kyoto International Conference Center)で2018年8月25日〜8月30日に開催されます。
今回は現地KrakowでもDioxin2019 Kyotoのプロモーションを行いました。日本からの参加者にご協力いただき、活気のある内容となりました。持参したパンフレット(1st circular)他、和柄のグッズ等はすべて配布完了、特に女性の浴衣姿とハッピやアロハは大変好評でした。Chairは酒井伸一教授(京都大学)です。
日本での開催は4回目(福岡1986、京都1994、東京2007)、京都での開催は25年ぶりになります。東京2020オリンピックの前年で多くの行事が予定されている中での開催です。京都議定書が、1997年12月に国立京都国際会館で開かれた第3回気候変動枠組条約締約国会議(COP3)で採択されて21年(京都議定書とは地球温暖化問題に世界各国が対応すべき具体的内容(法的拘束力を持つ数値目標)を初めて定めたもの。2005年2月に発効)、その後の「パリ協定」発行(平成28年11月)と、環境先進都市の京都でのDioxin2019開催に向けて本格的に動き出します。
皆様のご協力ご支援をよろしくお願いいたします。
 
(写真 : 国見祐治)
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