Dioxin2014 (34th International Symposium on Halogenated Persistent Organic Pollutants) 参加報告
2014年9月5日更新
Dioxin2014 (34th International Symposium on Halogenated Persistent Organic Pollutants) 参加報告
高菅卓三
開催期間:2014年8月31日~9月5日
開催地:Hotel Melia Castilla, Madrid, Spain
関連情報:http://www.dioxin2014.org/ をご覧ください。
なお過去の会議情報は以下で閲覧可能です。
http://www.dioxin20xx.org/
【本国際シンポジウムの概要】
本会議は1980年から開催されている、残留性有機汚染物質(POPs)に関する国際シンポジウムで通称“ダイオキシン20##”と呼んでいます。
例年40以上の国から800~1000名ほどの研究者が参加します。スポンサーも30以上と、POPsに関する最大級の国際シンポジウムとなっています。
スペインでの開催はバルセロナ(2002)についで2回目で、Dr. Begona Jimenez (Spanish National Research Council (IQOG-CSIC))がSymposium Chairです。
今回は、発表演題数 650以上、42の国地域が参加しました(半分は口頭発表)。 トピックとしては従来からのテーマに加え新しい7つのトピックと新しい10のスペシャルセッションが企画されました。 http://www.dioxin2014.org/#!scientific-topics/c7b7
また、今年はストックホルム条約締結10周年で、POPs条約の有効性の評価のために、POPs研究の特別セッションが、the Global Monitoring Plan(GMP)のサポートの元に企画されました。
スポンサー、展示企業のサポート、ランチョンセミナーなどが盛況で、この分野に必要不可欠な最新の分析に必要な各種技術情報の共有に役立っていました。
今年のテーマは、“Our students, our future”であり、PhDや若い研究者を、前面に押し出したものでした。ハイライトセッションでも従来はその分野の重鎮の講演で構成されていましたが、選ばれた4-5人の学生に2-3分ずつ、各自の研究のエキスを喋らせる発表で企画されていました。近い将来、この分野を担うであろう彼らがPOPs研究に対してどのように感じ、考えているかを知る良い機会となりました。
【主なトピック】
対象化学物質としては、新規POPs関連物質、有機フッ素系(PFC)、難燃剤では臭素系以外にリン系難燃剤などへの関心が高く、多くの発表がありました。また、分野では、リスク評価、途上国の汚染、特に廃電子機器(E-waste)のリサイクル現場での人体汚染などに関心が高かったようです。
特筆すべき点を1つ挙げておきます。
New EU 589/2014 Regulations(食品に関するダイオキシン類分析方法)では、従来GC-HRMSが公定法での確認手法であり、汎用のLRMSはスクリーニング分析であったのですが、2014年6月にGC-MS/MSもHRMSと同類の扱いとなったため、装置メーカーがランチョンセミナーでも積極的にアピールしていました。
※関連(EU) No 278/2012 and 252/2012
【マドリッドについて】
スペインの首都で内陸にあり、市内には、多くの歴史的建造物など世界遺産などもあり、町中が美しい印象です。特に夜のライトアップはみごとです。サッカーではレアルマドリードの本拠地のスタジアムも近くにあります。
昼間の日差しはかなりきつく、30℃を超えたのですが非常に乾燥しており、日本のようにべたべたする感じはありません。EUの西部に位置するため朝は7時でも薄暗い一方、ディナーは21時から(レストランも20:30からオープン)と、かなり“長い日”になります。時間はスペイン時間なるものもありますが、Dioxin会議は朝8:30から始まりました。
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【その他】
筆者はDioxin2014に先立ち、JSPS (Stockholm) Symposium: New technologies and results for the analysis of persistent pollutants and pharmaceuticals in the environment. (MTM Research Center Orebro University, Sweden)にも参加し基調講演を行いました。
今後は、グローバルネットワークを通じ国際的な共同研究や人的ネットワークの維持拡大などに努め、新たな環境問題への世界的な取り組みに、日本の分析機関の一員としてさらに貢献できればと考えております。
(写真 : 国見祐治)