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元素・組成分析

概要

 各種製品や材料、医薬品や生体試料などに含まれる無機元素について、組成分析から極微量分析まで幅広く対応します。試料や目的元素の性質、予想濃度や定量下限により 最適な前処理や測定手法を用いて分析します。

分析・試験装置

 

誘導結合プラズマ発光分析〔ICP-OES〕
 高周波を用いてアルゴンガスを電離状態にし、高温(5,000~10,000K)のプラズマを発生させます。水溶液試料をネブライザで霧状にしてそのプラズマ内に導入すると、試料中の原子が励起されます。励起原子から発生する元素特有の光を分光測定するのがICP発光分析法です。

<特徴>

  • 同時に多元素の分析が可能(Li~U) (ただし、希ガス等の一部の元素を除く)
  • 高感度(ppm~)
  • ダイナミックレンジが広い(ppb~数100ppm)

<測定例>

    • 金属(鉄鋼、非鉄)中の無機元素
    • 化学、薬品、石油、樹脂、セラミックス中の無機元素
    • 生体、医薬品、食品中の無機元素
    • 環境(水道、環境水、排水、土壌)中の微量無機元素
    • 環境(水道、環境水、排水、土壌)中の微量無機元素
    • RoHS対応(Pb、Cd、T-Cr)
    • レアメタルの分析

<受託内容>

  • 定性分析 : 下図の30元素、またはご指定の元素の定性を行います
  • 定量分析 : 試料中の特定元素の定量を行います
icp30

図1:ICP発光分光分析法で測定可能な元素(30元素+の72元素)

 

誘導結合プラズマ質量分析〔ICP-MS〕
 高周波を用いてアルゴンガスを電離状態にして高温のプラズマを発生させます。水溶液試料をネブライザで霧状にしてそのプラズマ内に導入すると、試料中の原子がイオン化されます。このイオン化された原子を真空内に取り込み質量分析を行うのがICP質量分析法です。

<特徴>

  • 同時に多元素の分析が可能(Li~U) (ただし、希ガス等の一部の元素を除く)
  • 超高感度(ppb~)
  • ダイナミックレンジが広い(ppb~数100ppm)

<測定例>

    • RoHS対応(Pb, Hg, Cd, T-Cr,Br)
    • 玩具EN71-3対応(重金属8物質)
    • 各種材料、製品中の微量元素の定量
    • 水道水・河川水中の微量元素の定量
    • 食品中の微量元素の定量
    • レアメタル・レアアースの分析
    • 安定同位体セシウム133Csの定量
    • その他

<受託内容>

  • 定性分析 : 下図の72元素の定性分析が可能(試料により72元素より少なくなる場合があります)
  • 定量分析 : 試料中の特定元素の定量を行います
icp72

図2:ICP質量分析法で測定可能な元素

 

誘導結合プラズマタンデム質量分析〔ICP-MS/MS〕
 ICP-MS分析で問題となる多原子イオン・同重体の干渉除去のために、コリジョン・リアクションセルともう1組の質量分離部を配置した装置です。2組の質量分離部(四重極)を異なるm/zに合わせることで、さまざまな分析に応用できます。

<特徴>

  • 反応ガスとして、ヘリウム、水素、酸素、アンモニアが使用可能
  • オンマス法による干渉除去、マスシフト法による目的元素の分離
  • 有機溶媒の直接導入が可能

<測定例>

  • P、Sの定量分析(ppbオーダー)
  • 元素同位体比分析(Pb,Srなど)

<受託内容>

  • 定量分析 : 試料中の特定元素の定量を行います。 従来の四重極ICP-MSで定量が困難な試料についても一度お問い合わせください。
  • 定性分析(要相談) : プレカーサーイオンスキャン、プロダクトイオンスキャン

 

有機元素分析〔EA〕
 試料を酸素ガスと共に燃焼分解すると、二酸化炭素、水蒸気、窒素酸化物が得られます。これらのガスを定量することで、試料中に含まれる炭素、水素、窒素の含有量を調べます。

エレメンター製 有機元素分析装置 vario EL cube
エレメンター製 有機元素分析装置
vario EL cube

<保有装置>

型式 エレメンター製 有機元素分析装置 vario EL cube
最大測定可能炭素量 40mg
キャリアガス アルゴンまたはヘリウム
燃焼ガス 酸素

<特徴>

  • 試料中のCHN含有量がわかります。
  • 燃焼管の試料燃焼領域に直接酸素ガスを吹き付けることにより、燃焼力を高めます。
  • 試料をスズ箔に包み、燃焼管へ投入することで、助燃効果が得られます。

<試料例>

    • 有機化合物
    • バイオマス
    • 汚泥・土壌
    • 石炭・石油などの燃料・炭素材料
    • 食品
    • 肥料

 

全有機体炭素計 [TOC]
  水試料中の全炭素(TC)、無機体炭素(IC)、全有機体炭素(TOC)を、燃焼酸化/酸性化により二酸化炭素とし、赤外線で検出し定量します。また、固体試料の直接測定も可能です。

<特徴>

  • TOCはさまざまな有機化合物の総量の指標となります
  • 固体試料測定システムにより粉末試料を直接測定することが可能
  • 吸収された二酸化炭素を無機体炭素として測定が可能

<装置>

  • 型式:全有機体炭素計 TOC-L、TOC-Ⅴ (島津製作所製)
       固体試料燃焼装置 SSM-5000A(固体試料測定システムに使用)

<受託内容>

  • 水道水、河川水、洗浄水、排水中のTOC
  • 樹脂製品等の溶出試験液中のTOC
  • 土壌や焼却灰中のTOC
  • 拭き取り試験後のスワブ材(石英ろ紙等)の全炭素TC
  • コンクリート粉末中の固定化されたCO2 (無機体炭素ICとして測定)

<受託項目>

  • 定量分析:全炭素TC、無機体炭素IC、全有機体炭素TOC

 

燃焼-イオンクロマトグラフ〔IC〕
 燃焼イオンクロマトグラフでは、試料を1000℃で燃焼させて発生したガスを吸収液に捕集し、各種ハロゲンおよび硫黄の定量分析をイオンクロマトグラフィーにて行います。

<特徴>

  • 溶液中のハロゲン(F,Cl,Br,I)、硫酸イオンの定量が可能
  • 5~10mg程度の少ない試料量で定量分析が可能
  • 定量下限値は10~20ppm(mg/kg)

<測定例>

  • ハロゲンフリー対応(F, Cl, Br, Iの測定)
  • プラスチックや樹脂などの固体試料
  • 油や有機溶剤などの液体試料

<受託内容>

  • 定量分析 アニオン(F-、Cl-、Br-、I-、SO42-
s04_jiic

自動試料燃焼一体クロマトグラフ

 

エネルギー分散型蛍光X 線分析〔EDX〕
 試料にX線を照射し発生する蛍光X線を測定することで、試料を構成する元素の種類や含有量を調べる装置です。
 ICP-OESなどの分析装置では化学的前処理が必要ですが、蛍光X線分析装置ではそれらの前処理なしで分析ができます。

<特徴>

  • 固体試料、粉末試料、液体試料で測定が可能
  • 多元素同時測定が可能(Na~U)
  • ファンダメンタルパラメータ(FP)法により標準試料なしで半定量が可能

<測定例>

  • 異物や不良解析
  • RoHS指令対応
     (Cd、Pb、T-Cr、Hg、T-Brのスクリーニング分析)
  • 土壌、焼却灰などの成分分析
  • 不明材料の成分分析
  • 液体、オイル中無機元素の分析
s08_edx7000

EDX

<受託内容>

  • 定性分析 : 全成分元素(Na~U)
  • 定量分析 : ご相談ください

試料により、研磨、切削、プレス、ガラスビード作成等が必要です

 

微小部エネルギー分散型蛍光X 線分析〔μEDX〕
 試料にX線を照射し発生する蛍光X線を測定することで、試料を構成する元素の種類や含有量を調べる装置です。μEDXは約50μm径に集光したX線で分析を行うため、100μm以下の微小試料の分析や元素マッピングを行うことができます。

<特徴>

  • 微小試料の測定が可能
  • 元素マッピングが可能
  • 多元素同時測定が可能(Al~U)
  • ファンダメンタルパラメータ(FP)法により標準試料なしで半定量が可能

<測定例>

  • 異物や不良解析
  • 電子基板など様々な試料の元素マッピング分析
  • めっき試料の膜厚分布
  • 電子材料・部品の膜厚測定
  • 微小試料や微小領域の成分分析
s02s_edx

μEDX

<受託内容>

  • 定性分析 : 全成分元素(Al~U)
  • 定量分析 : ご相談ください

試料により、研磨、切削、プレス、ガラスビード作成等が必要になります

 

波長分散型蛍光X線分析〔WDX〕
 蛍光X線分析装置は試料にX線を照射し発生する蛍光X線を測定することで、試料を構成する元素の種類や含有量を調べる装置です。WDXは、EDXに比べて高感度・高分解能な測定が可能です。

<特徴>

  • 固体試料、粉末試料で測定が可能
  • 多元素同時測定が可能(F~U)
  • ファンダメンタルパラメータ(FP)法により標準試料なしで半定量が可能

<測定例>

  • 鉄鋼、非鉄などの材料分析
  • 文化財などの貴重試料の分析
  • 異物や不良解析
  • 土壌、焼却灰などの成分分析
  • 電気電子機器の部品検査

<受託内容>

  • 定性分析 : 全成分元素(F~U)
  • 定量分析 : ご相談ください

試料により、研磨、切削、プレス、ガラスビード作成等が必要です

 

卓上走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分析装置〔SEM-EDS〕
 SEMにEDSが付属されています。
 電子線を試料表面上で走査した際に発生した特性X線をEDSで検出し、試料表面付近の元素を調べます。

<特徴>

  • 試料室を低真空モードにできるため、表面処理を行わず、そのまま観察・測定が可能
  • 定性分析 : 全成分元素(B~U)
  • 元素マッピングが可能

<測定例>

  • アワビの断面(積層構造)
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    *炭酸カルシウム(CaCO3)の膜が積層している状態が確認出来る。

  • 毛髪
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    *シリカ系微粒子(SiO2)と推察され、 パウダーワックスなどの整髪料の使用が考えられる。

  • 金鍍金部品の付着物
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    *元素マッピングで表面の元素分布を可視化することが可能

試料状態によって、固定、脱脂、洗浄などの前処理や 導電性を持たせる表面処理が必要な場合があります。

分析・試験方法

試料前処理

元素分析に関する主な試料前処理方法です。目的元素の濃度や形態により前処理が複雑になる場合は、別途ご相談させていただきます。

物理的前処理

    • 切断
    • 粉砕
    • 凍結粉砕
    • 遠心分離
    • 乾燥、濃縮、灰化

化学的前処理

    • 酸分解
    • マイクロウェーブ法
    • ボンベ燃焼、フラスコ燃焼
    • 加圧酸分解
    • アルカリ溶融
    • 乾式灰化
    • フッ酸分解
    • 管状炉燃焼
    • 抽出、溶出、共沈など

上記の方法を複数組み合わせることで、難分解試料に対応します

分析・試験事例

分析事例はアプリケーションズ「無機・元素分析」に掲載しています。
元素分析に関する分析事例一覧

関連情報