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PCB廃棄物の処理に伴う分析

概要

 PCB廃棄物の処理は、PCB濃度によって方法や処理施設が異なるため、事前のPCBの分析が必要となります。
また、処理施設によって、PCBの分析以外にも、多岐に渡る項目の分析が求められます。
 当社では、PCB廃棄物分析の豊富な実績、高度な技術を有しています。PCB以外の項目の分析にも取り組み、豊富な経験を有しています。PCB工業製品(原体)から、低濃度汚染油まで対応が可能です。

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特長・用途

PCB廃棄物の処理について

  PCB廃棄物については、国際的には、残留性有害汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)で、2025年までの使用の全廃、 2028年までの適正な処分が求められています。
 国内では、2001年6月22日に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(以下、「PCB特措法」)が公布され、 同年7月15日から施行されました。法律の施行により、PCB廃棄物を保管する事業者は保管状況の届出の他、2016年7月までの処理(処分)が義務づけられていましたが、 この期間内の処分完了が困難であることを踏まえ、処分期限は2027年3月31日まで延長されました。(2012年12月7日 閣議決定)
 なお、期間内のPCB廃棄物の確実な処理を達成するため、PCB特措法が2016年5月に改正され、改正法に基づく国の「ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画」 が2016年7月に閣議決定されています。改正法では、保管事業者に、計画的処理完了期限より前の処分が義務付けられました(罰則あり)。
※処理体制及び計画的処理完了期限は以下の通りです。

1. 処理体系
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2. 計画的処理完了期限及び事業終了準備期間
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PCB廃棄物であっても低濃度のものや、PCBを使用していないとする電気機器等で数㎎/㎏から数十㎎/㎏程度のPCBに汚染された絶縁油を含むもの(微量PCB汚染廃電気機器等) についても、PCB廃棄物として適正に処理する必要があります。

PCB廃棄物の分類と処理施設

 PCB廃棄物は、以下の図に示すように、「高濃度PCB廃棄物」と「低濃度PCB廃棄物」に分類されます。
 前者は中間貯蔵・環境安全事業株式会社での処理、後者は低濃度PCB廃棄物の無害化処理認定施設での処理となり、それぞれ、処理できる施設が異なります。この調査方法に関しては、環境省及び経済産業省より2022年に「低濃度PCBに汚染された電気機器等の早期確認のための調査方法及び適正処理に関する手引き」が示されています。

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高濃度PCB廃棄物の処理施設と計画的処理完了期限(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)

出典:「ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物の適正な処理に向けて」(2015年4月版)環境省パンフレット

出典:「ポリ塩化ビフェニル(PCB)早期処理情報サイト〜期限内の安全な処理に向けて〜」環境省ホームページ

廃棄物処理法第15条の4の4の第1項に基づき、無害化処理認定を受けた者(令和3年12月16日現在)

事業者名 設置場所 廃棄物の種類
(微量PCB廃電気機器等・低濃度PCB含有廃棄物)
廃油 トランスコンデンサ等     その他汚染物 処理物
光和精鉱株式会社 福岡県   
株式会社クレハ環境 福島県
エコシステム秋田株式会社 秋田県
神戸環境クリエート株式会社 兵庫県  
株式会社富山環境整備 富山県
株式会社富士クリーン 香川県
株式会社ジオレ・ジャパン(旧:関電ジオレ株式会社) 兵庫県      
三光株式会社 鳥取県
杉田建材株式会社 千葉県
J&T環境株式会社(旧:JFE環境株式会社) 神奈川県  
群桐エコロ株式会社(旧:株式会社エコロジスタ) 群馬県
環境開発株式会社 石川県  
オオノ開發株式会社 愛媛県
JX金属苫小牧ケミカル株式会社 北海道
株式会社かんでんエンジニアリング 滋賀県ほか      
DINS関西株式会社(旧株式会社GE) 大阪府  
ユナイテッド計画株式会社 秋田県
エコシステム小坂株式会社 秋田県    
株式会社神鋼環境ソリューション 兵庫県      
北電テクノサービス株式会社 富山県ほか      
ゼロ・ジャパン株式会社 埼玉県ほか ○     
三池製錬株式会社 福岡県    
中国電機製造株式会社 岡山県      
日本シーガテック株式会社 京都府    
赤城鉱油株式会社 群馬県
東芝環境ソリューション株式会社 神奈川県ほか    
株式会社太洋サービス 静岡県
株式会社電力テクノシステムズ 香川県ほか      
九電産業株式会社 福岡県ほか      
東京鐵鋼株式会社 青森県
エコシステム千葉株式会社 千葉県
J&T環境株式会社(旧:JFE環境株式会社) 東京都      
北海道電力ネットワーク株式会社 北海道      
株式会社イオン 福島県      

*◎は、汚染物のPCB濃度が5,000mg/kgを超え、100,000mg/kg以下のPCB汚染物(金属くず等を除く)を処理できる施設として認定された施設。

事業者名 設置場所 廃棄物の種類
(微量PCB廃電気機器等・低濃度PCB含有廃棄物)
廃油 トランスコンデンサ等     その他汚染物 処理物
エコシステム山陽株式会社 岡山県
水島エコワークス株式会社 岡山県    
東京パワーテクノロジー株式会社 神奈川県   ※1  
三重中央開発株式会社 三重県  
日本海環境サービス株式会社 富山県      

※1抜油済みのものに限る

出典 「廃棄物処理法に基づく無害化処理認定施設」(環境省) https://www.env.go.jp/recycle/poly/facilities.html

ポリ塩化ビフェニル(PCB)に関するお問い合わせ先一覧

環境省 ポリ塩化ビフェニル(PCB)早期処理情報サイト  http://pcb-soukishori.env.go.jp/inquiry/

お問い合わせ内容 お問い合わせ窓口 ホームページ (HP)アドレス
1.PCB関係法令等
PCB廃棄物全般(高濃度・低濃度) 環境省廃棄物規制課 環境省HP
  都道府県及び政令市 北海道地方
  *「PCB特別措置法ついてのお問い合わせ窓口」 東北地方
    関東地方
    中部地方
    関西地方
    中国地方
    四国地方
    九州・沖縄地方
使用中のPCB含有電気工作物
(電気事業法関係)
経済産業省産業保安監督部(電力安全課) 「電気事業法に基づく届出についてのお問い合わせ窓口」
2.PCB含有の有無の判別 ※製造事業者が判明している場合、先に事業者へお問い合わせください。
変圧器・コンデンサー等 (一社)日本電機工業会 (一社)日本電機工業会HP
    電気機器メーカー一覧
安定器 (一社)日本照明工業会 (一社)日本照明工業会HP
3.PCB使用製品・PCB廃棄物の届出等
電事法対象(変圧器・コンデンサー等) 経済産業省産業保安監督部
(含有判明から使用廃止まで)
上記 「電気事業法に基づく届出
についてのお問い合わせ窓口」
  都道府県及び政令市
(使用廃止から処分まで)
上記 *「PCB特別措置法ついて
のお問い合わせ窓口」
その他(安定器等) ・都道府県及び政令市  
4.PCB廃棄物の施設、処理申込、処理委託費用等
高濃度PCB廃棄物 中間貯蔵・環境安全事業(株)(JESCO) JESCO 本社HP
低濃度PCB廃棄物 環境大臣の無害化処理認定施設、都道府県知事等の許可施設 各施設一覧サイト
5.中小企業者等の負担軽減措置
補助制度(高濃度PCB廃棄物) 中間貯蔵・環境安全事業(株)(JESCO) JESCO 本社HP
低利融資制度
(高濃度、低濃度PCB廃棄物)
(株)日本政策金融公庫 環境・エネルギー対策資金
PCB廃棄物処分関連
    各店舗窓口
6.低濃度PCB廃棄物等の処理技術の認定等
環境大臣の無害化認定施設 環境省廃棄物規制課 環境省HP
都道府県知事等の許可施設 都道府県及び政令市 上記 *「PCB特別措置法ついて
のお問い合わせ窓口」
課電自然循環洗浄法 経済産業省環境管理推進室 経産省HP
  経済産業省電力安全課  
  環境省廃棄物規制課 経産省HP
7.PCB廃棄物処理基本計画
PCB廃棄物処理基本計画 環境省廃棄物規制課 環境省HP
8.PCB廃棄物の各種ガイドライン
測定方法、収集・運搬、解体・切断等 環境省廃棄物規制課 環境省HP

分析・試験項目

PCBの分析

 PCB廃棄物分析の豊富な実績はもちろん、PCB処理施設の実証試験、PCB分解試験、処理技術の分析支援を受託する、「絶縁油中の微量PCBに関する簡易測定法マニュアル(2010)」 や「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法」の作成に参画するなど、高度な技術を有しています。
 PCB工業製品(原体)から、低濃度PCB廃棄物、絶縁油まで対応が可能です。

また、PCB及びPCBをその重量の1パーセントを超えて含有する製剤その他の物については、労働安全衛生法、特定化学物質等障害予防規則等においてその取扱い等が規制され、廃棄物の処理作業等に従事する際には、「PCB廃棄物の処理作業等における安全衛生対策要綱」に基づく作業環境測定が必要となります。当社はこうした作業環境測定にも対応します。

また、「絶縁油中の微量PCBに関する簡易測定法マニュアル(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課)」に基づく 絶縁油中のPCB分析についてISO/IEC17025試験所認定を取得しています。 詳細は「品質の保証」へ >>

低濃度PCB廃棄物の分析については、「低濃度PCB廃棄物に関する測定」をご覧ください。

PCB以外の分析項目

処理を行う際には、上に示した処理施設によって、PCBの分析以外にも、多岐に渡る項目の分析が求められます。

PCB以外の分析項目の一例
水分、引火点、シリコーン油、硫黄、クロム、強熱減量、密度、粘度、色相、1.4-ジオキサン

処理施設や対象試料により要求項目は異なり、特にPCB濃度が高いPCB廃棄物については、難易度の高い分析技術が必要です。
当社では、PCB分析だけでなく、これらの項目にも協力機関との連携も含め取り組み、豊富な経験を有しています。
また、各処理施設ごとに必要となる分析項目について情報を整理しています。気軽にご相談ください。

PCNの混入について

 ポリ塩化ナフタレン(PCN)は、ポリ塩化ビフェニル(PCB)とよく似た構造、特性を持つため、過去にPCBの代わりに絶縁油等にも用いられていました。また、防腐剤や染料の原料、ネオプレンゴムの添加物として使われていました。PCBに汚染された絶縁油中にPCNが含まれている事例や、PCB製品中の不純物として、さらには塩素化パラフィン中の不純物としても確認されています。
 PCNも化学物質審査規制法の第一種特定化学物質に指定されており(塩素数2以上)、2015年5月に開催されたPOPs条約第7回締約国会議(COP7)で、塩素数が2以上のものについて新たに同条約の附属書A(廃絶)及び附属書C(非意図的放出の削減)に追加されることが決定され、PCN混入の可能性がある場合はPCNへの対応も必要となります。
PCNの分析については、「PCN」をご覧ください。

PCB廃棄物処理のサポート

 当社では、PCB廃棄物の分析だけでなく、調査方法の相談から廃棄物の処理まで、コスト面も含めてトータルにサポートします。

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