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非意図的生成POPs

概要

 環境中での残留性が高いPOPs(Persistent Organic Pollutants、残留性有機汚染物質)については、一部の国々の取組のみでは地球環境汚染の防止には不十分なことから、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」により国際的に協調して廃絶、削減に向けた取り組みが行われています。
 条約の対象物質のうち、非意図的に生成・排出される物質(非意図的生成POPs)については、排出量の推計が行われるとともに、排出削減に係る措置が実施されています。

 当社は、環境省の「非意図的生成有害大気汚染物質排出実態調査(旧 非意図的生成のPOPs排出インベントリー維持整備調査)」等の大規模調査を2004年度から受託し、また、排出ガス中の非意図的生成POPsの測定方法マニュアルの作成に関わるなど、豊富な実績があります。排出ガス中、排水中や残留物中のこうした非意図的生成POPs等の測定は当社にご相談ください。

 その他のPOPsの分析についてもご覧ください。 https://www.shimadzu-techno.co.jp/annai/env/k01_02.html

 

■非意図的生成POPsについて

 非意図的生成POPsとしては、従来、ダイオキシン類の一部(ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシンおよびポリ塩化ジベンゾフランPCDD/PCDF)、ヘキサクロロベンゼン(HCB)、ポリ塩化ビフェニル(PCB)並びにペンタクロロベンゼン(PeCB)が規定されていましたが、2015年に開催された第7回締約国会議(COP7)においてポリ塩化ナフタレン(PCN)が、2017年に開催された第8回締約国会議(COP8)において、ヘキサクロロブタジエン(HCBD)がそれぞれ対象物質に追加されたことから、今後は、PCDD/PCDF、HCB、PCB、PeCB、PCN及びHCBDの7物質について、排出削減のための措置や排出量の推計が行われることになります。

法規制・規格

■日本国内での対応について

【ダイオキシン類】
 ダイオキシン類は、物の燃焼により非意図的に生成される物質であり、廃棄物焼却炉からの排出量が相対的に多いことが確認されています。ダイオキシン類対策特別措置法により、ダイオキシン類の排出量、排出濃度等を勘案して規制対象施設が指定され、排出基準が設定されています。
詳細は以下のページをご確認ください。

 ダイオキシン類対策特別措置法などの基準値及び規制の要点
 https://www.shimadzu-techno.co.jp/annai/env/d_taisakusoti.html

 

【PCB】
 おおむねダイオキシン類と同じような熱・燃焼プロセスから発生しており、セメント焼成炉や冶金工業における熱工程からの排出量が相対的に多いことが確認されています。排ガス基準の設定はありませんが、公共用水域への排出については、水質汚濁防止法により排出水中の濃度が規制されています。

【HCB・PeCB】
 おおむねダイオキシン類と同じような熱・燃焼プロセスから発生しており、HCBは冶金工業における熱工程や廃棄物焼却炉、セメント焼成炉からの排出量が、PeCBは廃棄物焼却炉からの排出量が相対的に多いことが確認されています。排出基準等の設定はありませんが、排出量の目録(排出インベントリー)が整備され、さまざまな排出抑制対策が行われています。

【PCN】
 ダイオキシン類と同じような熱・燃焼プロセスから発生し、セメント焼成炉における熱工程からの排出量が相対的に多いことが確認されています。排出基準などの設定はありませんが、排出量の目録(排出インベントリー)が整備されさまざまな排出抑制対策が行われています。

【HCBD】
 ダイオキシン類と同じような熱・燃焼プロセスから発生するほか化学物質の製造工程から発生する可能性が示唆されています。化学物質の製造工程等の各種発生源に関する調査が継続的に実施されるなどさまざまな排出抑制対策が予定されています。

 

分析・試験方法

 当社は、排出ガス中、排水中や残留物中の非意図的生成POPsの測定分析について豊富な実績があります。

化学物質名 分析方法
ダイオキシン類(PCDD、PCDF、コプラナーPCB) GC-HRMS(EI)法
ポリ塩化ビフェニル(PCB) GC-HRMS(EI)法
ヘキサクロロベンゼン(HCB) GC-HRMS(EI)法
ペンタクロロベンゼン(PcCB) GC-HRMS(EI)法
ポリ塩化ナフタレン(PCN) GC-HRMS(EI)法
ヘキサクロロブタジエン(HCBD) GC-MS(EI)法、GC-HRMS(EI)法

実績

■分析の優位性

POPsの詳細測定方法の検討・確立及び改良を行い、論文や国内外学会等での発表や、各種共同研究を推進しています。
国内での排出ガス中の非意図的生成POPsの測定方法マニュアル*策定に携わるなど、各種マニュアルなどの作成に参画しています。
* 排出ガス中のPOPs(ポリ塩素化ビフェニル、ヘキサクロロベンゼン、ペンタクロロベンゼン、ポリ塩化ナフタレン、ヘキサクロロブタジエン)の測定方法マニュアル(平成31年3月 環境省 水・大気環境局 大気環境課) http://www.env.go.jp/air/osen/manual2/
外部精度管理として、国内外のクロスチェックに継続参加し、中央値を安定して維持しています。また、内部精度管理としてダイオキシン類分析と同等の水準での高感度分析、厳格なブランク値管理をしています。
POPs廃棄物の処理過程における収支、入口検査、汚染の有無、安全性の確認、環境保全、POPs分解/除去の判定、周辺環境調査などにも対応します。 火災による燃焼生成物(ダイオキシン類など)の測定にも対応します。

 

 POPsの分析については、「POPs
 ダイオキシンの分析については、「ダイオキシン類
 PCBの分析については、「PCB
 ポリ塩素化ナフタレン(PCN)の分析については、「PCN」のページもご覧ください。

 

関連情報

■その他化成品中のPOPsについて

 化成品の製造工程や原料により、化成品中に非意図的生成のPOPsが副生する事例が報告されています。

 当社では新規化学物質を含め、さまざまな材料や製品中のPOPs分析の実績があります。お気軽にご相談ください。

20210315