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シリコンウェハ表面のぬれ性評価

2011年05月24日更新

概要

 固体と液体の「ぬれ現象」は身近に見られ、 広範な産業と密接に関係しています。
 ぬれ性評価装置は、業種を問わず様々な現場で扱われているぬれ現象を「接触角」や「表面張力」 にて数値化して評価するために用いられています。
 接触角、側面からの観察だけでなく、上部からの観察により、ぬれ面積や液高さも測定した シリコンウェハの表面のぬれ性評価事例を紹介します。

分析・試験事例

 シリコンウェハ表面の任意の4点に純水を滴下し、側面の観察から接触角(図1)および液高さ(図3)を測定しました。 また、上部の観察(写真)からぬれ面積(図2)を測定しました。使用したシリコンウェハは、予め界面活性剤、純水にて超音波洗浄しました。

図1:接触角の経時変化

図1:接触角の経時変化
 

図1:接触角の経時変化

図2:ぬれ面積の経時変化
 (ぬれ面積:広がった面積/滴下液)

写真4:ぬれ広がりの観察像(滴下3秒後)

写真:ぬれ広がりの観察像(滴下3秒後)    

図3:液高さの経時変化

図3:液高さの経時変化

図1:接触角の経時変化

図1:接触角の経時変化
 

図1:接触角の経時変化

図2:ぬれ面積の経時変化
 (ぬれ面積:広がった面積/滴下液)

写真4:ぬれ広がりの観察像(滴下3秒後)

写真:ぬれ広がりの観察像(滴下3秒後)    

図3:液高さの経時変化

図3:液高さの経時変化

■評価例1:測定点③

 測定点③は、他の測定点に比べ接触角が大きく減少しました。また、他の測定点よりぬれ面積が大きく、 上部観察像でもぬれ広がっている様子がわかります。
 従って、測定点③は界面活性剤などの親水性の付着物が残存、あるいは他の測定点に比べて部分的に付着物(ヨゴレ)が少なく、 ぬれ易い部分ではないかと考えられます。

■評価例2:測定点①

 測定点①は、測定点②④と比べて接触角の変化に大きな違いは見られませんが、ぬれ面積が小さく、 液高さが大きいことがわかります。下の図4に測定点①と②の上部及び側面からの観察像を示します。 上部からのぬれ広がりの様子より、試料表面の状態が異なっていることが分かりました。
 従って、測定点①は油分などの疎水性の付着物(ヨゴレ)が残存し、ぬれ難い部分ではないかと考えられます。

図5:測定点①と②の上部及び側面からの観察像(滴下3秒後)

図4:測定点①と②の上部及び側面からの観察像(滴下3秒後)

 従来の接触角の測定に加え、上部からぬれ広がる様子を観察でき、さらにぬれ面積や液高さなどの情報により、 表面の状態をより詳細に評価できます。

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