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ダイナミック超微小硬度計による金属の硬度評価
 ダイナミック超微小硬度計 DUH-211Sを用いて、3種類の金属(銅、真鍮、アルミニウム)について硬さ試験を行い、マルテンス硬さおよびくぼみ読み取り硬さを算出した事例を紹介します。

試験条件および試験方法    
 
試験機 ダイナミック超微小硬度計 DUH-211S
(島津製作所製)
試料 表面研磨された金属
(銅、真鍮、アルミニウム)
測定圧子 稜間角115°三角錐圧子
(ダイヤモンド製)
試験の種類 負荷-除荷試験
最大試験力[mN] 980.00
最小試験力[mN] 1.96
負荷速度[mN/sec] 46.7114
負荷保持時間[sec] 5
除荷保持時間[sec] 5
試験方法 試料を薄物用アタッチメント3形(図1)で固定し、n=3で試験を行い、平均値で評価しました。
 
図1 試料固定方法(概略図)
        
        図1 試料固定方法(概略図)

試験結果  
  試験結果のまとめを表1に、「試験力-押し込み深さ」の重ね描きグラフを図2に示します。
硬さの評価は、マルテンス硬さ(HMT115)と換算ビッカース硬さ(HV*)およびくぼみ読み取り硬さ(HT115)にて行いました。
  表1  試験結果(平均値)
試料名 Fmax hmax L HMT115
[N/mm2]
HT115 HV*
[mN] [μm] [μm] [μm]
986.61 4.3010 28.749 1,210.43 191.357 143.329
真鍮 986.23 5.1366 34.269 848.286 134.806 94.329
アルミニウム 987.11 4.8855 31.741 937.996 156.962 108.606

(注1)マルテンス硬さ(HMT115)は、次の式で計算しました。
   HMT115= Fmax/(26.43×hmax2
 
  HMT115 三角錐圧子(稜間隔HT115°)によるマルテンス硬さ
  Fmax 最大試験力
  hmax Fmaxにおける押し込み深さ
  HMT115は、装置の剛性などによるマシンコンプライアンス補正(Cf補正)と圧子先端の丸み等の 影響である面積関数補正(Ap補正)を含んだ値です。

(注2)くぼみ読み取り硬さ(HT115)は、次の式で計算しました。
   HT115= 160.07×F/L2
 
  HT115 三角錐圧子(稜間隔HT115°)によるくぼみ読み取り硬さ  
  Fmax 最大試験力
  L くぼみの高さ
  くぼみの大きさが顕微鏡を用いて測定可能な場合、くぼみの高さから硬さを求めることができます。

(注3)マルテンス硬さ(HMT115)とくぼみ読み取り硬さ(HT115)について
  マルテンス硬さ(HMT115)は、試験力を負荷している状態の押し込み深さから計算しますので、塑性変形と弾性変形を含んだ硬さ値となります。
一方、読み取り硬さ(HT115)は、試験力を取り除いた後のくぼみの大きさから計算しますので、塑性変形のみの硬さ値が求められます。
   

 
  図2 試験力-深さグラフ

表1より、マルテンス硬さ(HMT115)、換算ビッカース硬さ(HV*)、およびくぼみ読み取り硬さ(HT115)の高い試料の順序は次の通りです。
               マルテンス硬さ(HMT115)  ・・・ 銅>アルミニウム>真鍮
               くぼみ読み取り硬さ(HT115) ・・・ 銅>アルミニウム>真鍮
               換算ビッカース硬さ(HV*)  ・・・ 銅>アルミニウム>真鍮
 
まとめ    
  ダイナミック超微小硬度計DUHを用いることにより、押し込み深さから、塑性変形と弾性変形を含んだマルテンス硬さ(HMT115)と、試験後のくぼみの高さから、塑性変形のみによるくぼみ読み取り硬さ(HT115)の両方を算出することができます。
また、くぼみ読み取り硬さから換算ビッカース硬さを推定することができます。
2017.10.19 307