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赤外顕微鏡(FT-IR)によるマッピング測定

2016年06月14日更新

概要

 赤外分光光度計は、赤外顕微鏡を用いたマッピング測定により、試料表面の各成分の分布状態を測定することができます。試料の顕微鏡画像上にマッピングする範囲を設定し、データを収集していきます。

分析・試験事例

(1) 金属表面の印字物

 金属表面に印字された赤色部位のマッピング測定を行いました。
 図1に示す金属表面(部位A)と印字部分(部位B)の赤外吸収スペクトルを図2、3に示します。
 印字部分からはインク由来の吸収スペクトルが得られました。特徴的な1678cm-1のピークについて下記の測定条件でマッピング測定を行いました(図4)。 図1の顕微鏡画像中の×(緑色)が各測定点です。

図1 顕微鏡画像(マッピング設定画面)

図1 顕微鏡画像(マッピング設定画面)

マッピングエリア

マッピングエリア

図2 部位A (金属表面)のFT-IRスペクトル

図2 部位A (金属表面)のFT-IRスペクトル

図3 部位B(印字部分)のFT-IRスペクトル

図3 部位B(印字部分)のFT-IRスペクトル

図4 部位B(印字部分)のマッピング分析結果(1678cm-1)

図4 部位B(印字部分)のマッピング分析結果(1678cm-1)

スペクトル測定条件

測定面積 50μm×50μm
波数範囲 700cm-1~4000cm-1
測定方法 顕微反射法

マッピング条件

測定面積 1200μm×1200μm
波数範囲 625point
測定方法 1678cm-1

(2) 金属表面の汚れ、付着物の測定

 金属表面の汚れ部分のマッピング測定を行いました。金属表面の汚れ部分は、FT-IR測定の結果、シリコーン由来のスペクトル(図6:部位C)、脂肪酸由来のスペクトル(図7:部位D)が確認されました。
 そこで各成分に特徴的にみられるピークを用いてマッピングを行いました。これらのマップ(図8、図9)より、各成分の分布状態がはっきりと分かります。

図5 顕微鏡画像(マッピング設定画面)

図5 顕微鏡画像(マッピング設定画面)

マッピングエリア

マッピングエリア

図6 部位CのFT-IRスペクトル(シリコーン)

図6 部位CのFT-IRスペクトル(シリコーン)

図7 部位DのFT-IRスペクトル(脂肪酸)

図7 部位DのFT-IRスペクトル(脂肪酸)

図8 部位Cのマッピング分析結果(1265cm-1)

図8 部位Cのマッピング分析結果(1265cm-1)

図9 部位Dのマッピング分析結果(1743cm-1)

図9 部位Dのマッピング分析結果(1743cm-1)

スペクトル測定条件

測定面積 50μm×50μm
波数範囲 700cm-1~4000cm-1
測定方法 顕微反射法

マッピング条件

測定面積 1400μm×1200μm
波数範囲 725point
測定方法 1265cm-1(部位C),1743cm-1(部位D)

 赤外顕微鏡を用いたマッピング測定は、異物や付着物解析にも応用できます。各異物や付着物の情報を可視化することができ、異物や付着物の同定、分布領域の特定が可能になります。 

関連情報

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