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第26回環境化学討論会 参加報告

2017年6月9日更新

学会発表・論文 学会参加報告 環境化学討論会

第26回環境化学討論会 参加報告

静岡県コンベンションアーツセンター

開催期間:平成29年6月7日-9日
開催地:静岡県コンベンションアーツセンター 「グランシップ」(静岡市)

<当社の研究成果発表内容>
 https://www.shimadzu-techno.co.jp/news/gakkai/news170515.html
<第26回環境化学討論会の情報>
 http://www.j-ec.or.jp/conference/26th/index.html

 

6月7日~9日、静岡県コンベンションアーツセンター 「グランシップ」において
第26回環境化学討論会 (主催:一般社団法人日本環境化学会)が開催されました。

当社は連名を含み、7題の研究成果を発表しました。
討論会の概要や主な研究報告、講演の内容などをレポートいたします。

ようこそ静岡へ

 参加者は約600名、総発表演題数は、336題、口頭発表;156題、ポスター発表;180題でした。
 一般発表では日本語の発表の他に、国際セッション(海外招聘含む)も3日間ありました。

 今回のテーマは、「健康長寿社会を支える環境化学の未来-静岡からの発信-」で、討論会の主催者側である静岡県立大の研究分野に関連するような、 毒性影響や食品・生活用品・医薬品等に関する発表が例年より多くありました。

<主な発表内容>

討論会の様子 (一般発表)

討論会の様子(一般発表)

対象物質としては、既存の化学物質では、PCB・POPs関係や臭素系難燃剤、有機フッ素化合物等の有機ハロゲン化合物の発表が多く(全体の4分の1)、炭化水素・PAH、農薬、生理活性物質、界面活性剤、化成品・添加剤・可塑剤、PPCPs、大気浮遊粉じん・PM2.5、たばこなど、対象物質の広がりが見られました。

 また、テーマとしては、従来から多い分析技術(全体の4分の1)や環境レベル(全体の4分の1)だけでなく、動態解析(環境)、生態系影響、リスク評価など各種解析に関するものや、オミクス、動態解析(生体)、毒性影響、疫学調査、曝露影響統合測定などのヒトへの影響に関するものなど、幅広い分野に展開しているように感じました。
また東日本大震災のF1事故から6年経過し、5年間の変遷の報告や、熊本地震による環境影響の報告、緊急時の環境調査手法などタイムリーな話題もありました。

 具体的な発表の中では、バイオアッセイを用いた試験法、各種迅速・簡易分析法、MS分析技術、網羅分析、マイクロプラスチック、ネオニコチノイド農薬およびネオニコチノイド代謝物、イヌネコへの影響評価、水環境中汚染化学物質のスクリーニング分析、生物応答を用いた排水管理手法などがキーワードとして挙げられていました。

<その他の企画内容>

 主な企画としては、特別講演、受賞講演、学生賞、自由集会(6テーマ)、交流会、企業展示、ランチョンセミナー、学生参加者を対象とした就活支援コーナーなど盛りだくさんの企画がありました。
特別講演の若林敬二氏(静岡県立大学 特任教授)「環境中の発がん要因とがん予防因子」、安田喜憲氏、山田和芳氏(ふじのくに地球環境史ミュージアム)「環境考古学から環境文明論へ」は、身近な題材についての総説となっており、研究者や学生にとって、非常に興味深い講演であったと思います。
 自由集会は、一般発表とは異なり、深く掘り下げて本音で議論出来るような企画が多く、特に「教えてください!あなたの研究座右の書」と題された集会では、「私はこれで環境汚染について勉強しました!」という環境関係の名著から、自己啓発系の名著まで、参加者のさまざまな座右の書が紹介されており、非常におもしろい試みであったように感じられました。
 また「環境化学でオープンサイエンス」~あなたのデータを活用しませんか?~ では研究データを一般に公開することで学術研究を発展させる「オープンサイエンス」について環境化学分野の発展に向けた取り組みが議論されました。
 「事故・災害時における緊急環境調査に向けて」では大規模災害時における有害化学物質の環境流出と汚染状況を迅速に調査・解析するための手法の開発とその情報共有、発災時における学問的助言やサポートについて生の声を踏まえながら自由に意見公開されました。
 当社では環境化学討論会に毎年継続して、複数題の研究発表を行っております。来年は沖縄で5月に開催されます。  国内外の研究者をはじめ産学官のネットワークも多数構築でき、最前線の研究活動や情報交換を行うことができる場となっています。 実行委員として運営側に関わるものも多く、今後も本学会・討論会への参加を通じて、分析機関の一員として、最前線の研究活動、分析技術支援を継続し、社会貢献していきたいと考えております。

(写真 : 国見祐治)