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第25回環境化学討論会 参加報告

2016年6月10日更新

学会発表・論文 学会参加報告 環境化学討論会

第25回環境化学討論会 参加報告

会場 

開催期間:平成28年6月8日-10日
開催地:朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター (新潟市)

<当社の研究成果発表内容>
 https://www.shimadzu-techno.co.jp/news/gakkai/news160513.html
<第25回環境化学討論会の情報>
 http://www.j-ec.or.jp/conference/25th/index.html

6月8日~10日、朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンターで第25回環境化学討論会 (主催:一般社団法人日本環境化学会)が開催されました。

当社は連名を含み、7題の研究成果を発表しました。
討論会の概要や主な研究報告、講演の内容などをレポートします。

会場

参加者は約550名、総発表演題数は、328題、口頭発表;144題、ポスター発表; 184題でした。

 一般発表では日本語の発表の他に、国際セッション(海外招聘含む)やWerner Brack 博士を囲んでの特別セッションがありました。

 今回の討論会の主催者側である新潟薬科大学の研究分野に関連するような、重金属・微量元素や農薬等関連の発表が例年より多くありました。

<主な発表内容>

 発表内容では、対象物質の広がりが感じられました。既存の化学物質だけでなく、生理活性物質、界面活性剤、化成品・添加剤・可塑剤、PPCPs、ナノマテリアルなどの発表がありました。
 また、テーマでは、従来から多い分析技術や環境レベルだけでなく、動態解析(生体、環境)、毒性影響、生態系影響、リスク評価等、各種解析に関するものや、浄化・処理、リサイクルやバイオマス等、各種技術に関するものなど、幅広い分野に展開していました。
 具体的な発表では、バイオアッセイを用いた試験法、大気や水中のパッシブサンプリング法、TOFMSを用いた網羅分析、PCBやPOPsの迅速・簡易分析法、身近な動物であるイヌ・ネコ等への有機ハロゲン化合物の汚染実態や影響評価、マイクロプラスチック汚染、有機フッ素系ポリマー等の無害化や無機化、PPCPs医薬品等の動態解析、ネオニコチノイド系農薬の環境影響評価、PAHsを用いたPM2.5の起源解析や特性評価、放射性セシウムの汚染実態把握や起源解析、などがキーワードとして挙げられていました。

討論会の様子 (一般発表)

討論会の様子(著者、一般発表)

 一般発表のほかにも、特別講演、日本環境化学会25周年記念講演、受賞講演、学生賞、自由集会(6テーマ)、交流会、企業展示、ランチョンセミナーなど盛りだくさんの企画がありました。
 特別講演の坂本 和彦 先生 ((一財)日本環境衛生センター アジア大気汚染研究センター 所長)による「微小粒子状物質(PM2.5)の現状 -組成と対策-」、 記念講演の森田 昌敏 先生 (日本環境化学会名誉会長、愛媛大学農学部客員教授)による「環境化学の歴史と今後の展望」、 Werner Brack博士
(Head of Department, Department Effect-Directed Analysis, Helmholtz Centre for Environmental Research)による「SOLUTIONS For Emerging Pollutants In Water Resources Management」 は、それぞれのテーマについて、歴史から現状、今後の展望までを概説する内容で、現場で関わる研究者や学生には非常に興味深い講演でした。
 自由集会では、一般発表とは異なり、深く掘り下げて本音で議論出来るような企画が多く、特に「かんばけワークショップ どうする?どうなる?これからの25年」のワークショップ形式の集会では学生を中心とした若手の参加が多く、活気が感じられました。
 「自然災害と環境化学」は4月の熊本地震を受けて急きょ設けられたもので、災害時における環境・健康リスク管理や対策について、初動の重要性や東日本大震災から5年後を経ての報告など興味深いものでした。

 当社はこの討論会に毎年、複数題の研究発表を行っています。
 来年は静岡で同時期に開催されます。  国内外の研究者とのネットワークも多数構築でき、最前線の研究活動や情報交換を行うことができる場となっています。 実行委員として運営側に関わるものも多く、今後も本学会への参加を通じて、分析機関の一員として、 最前線の研究活動、分析技術支援を継続し、社会貢献していきたいと考えています。