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第三話 広がり続けるULの世界

2014年8月21日更新

コラム 合弁会社のパートナー“UL”ってどんな会社?

第三話 広がり続けるULの世界

 第一話と二話で、ULの歴史から現在提供している様々なサービスまで幅広く紹介してまいりましたが、ULについて知っていただく上で、読者の皆様にお伝えしたいことがまだまだあります。
「より安全・安心な世界をめざして(Working for a safer world)」というミッションの下、一世紀以上にわたり活動を続けてきたULは、安全に関する実績と知見を基に様々な活動を展開しています。

 まずお伝えしたいULの特徴的な活動の一つに、規格開発活動があります。
ULは、第二話でご紹介したような試験や認証を行うだけでなく、社名の通り、「UL安全規格」の開発を行う規格開発機関でもあります。
それは、どの規格もそうであるように、決してUL単独で開発・発行できるものではありません。
UL安全規格は、米国内での製品の開発・普及を左右するものとして、「規格策定パネル(Standard Technical Panel)」と呼ばれる組織を中心とした、UL並びに産業界や規制当局、政府、消費者など各分野を代表する方々のオープンな討議とコンセンサスに基づいて公開されます。

 現在約1,000種類以上のUL規格が存在しており、その内の約7割が米国の国家規格として採用されています。これこそが、UL安全認証が米国で広く利用され、一般消費者の皆様に安心と信頼をもたらしている所以の一つです。
また、米国にとどまらず、製品のグローバル化を見据え、UL規格と国際規格との整合化にも積極的に取り組んでいます。

 しかし、そんなUL安全認証の高い信頼性と知名度がもたらすのは、良いことばかりではありません。UL認証製品の偽造品を生産し、米国内で販売したり、世界的メーカーに納品したりという不正が後を絶たたないのです。
ULは、厳正なUL安全認証の品質と価値を維持するべく、このような偽造品を阻止する活動にも注力しています。偽造が疑われるUL認証マークが付いた製品を発見した、もしくはそういった報告を受けた場合には、調査並びに、税関および関連機関と連携した摘発・回収などの処置を取り、事故防止につなげています。

 最近では、中国浙江省で消火設備用減圧弁を摘発しました。

 偽造品ではないかという報告を顧客から受けたULは、その製造元をつきとめ、証拠を入手した上で、覚書を締結していた現地の取締り当局に報告。
すると、24時間以内に工場の強制捜索が行われ、何百個もの偽造ULマーク付製品が見つかり、押収・処分されました。
またその工場には、多額の罰金と、ULマークの使用禁止という厳しい処置が課せられました。

 読者の皆様も、第二話でご紹介したULマークはついているが怪しい製品を発見された場合は、ぜひUL Japanまでご連絡ください。

UL偽造写真

UL偽造写真

 ULのさらなる特徴としてお伝えしたいのは、ULの調査活動です。
ソートリーダーシップと呼ばれる、新たな考え方や知見、信念を業界に提案する活動の一環として、ULは、New Science(ニューサイエンス)と名付けた、特定のテーマを中心にした調査研究活動を実施し、その成果を白書やジャーナルとして発行しています。

 その中でもULが最も頻繁に行い、また、注目を集めているのが、住宅火災に対する実験や調査です。
合成素材でできた家具や建材の増加、気密性の向上、ソーラーパネルの設置など、現代の住宅の消防活動は数々の新しい課題に直面しています。
ULは米国国土安全保障省の支援の下、消防署と協力し、これらの問題に対応した消火技術/戦略の発見に取り組んでいます。
それらは、米国本社の敷地内や試験所内に実際に住宅を模した建物を建てて着火するという大規模なもので、ニューヨーク市にある解体予定の市営住宅17棟を利用したケースもありました。

ニューヨークの火災実験

ニューヨークの火災実験

 これらの調査は全て、消防士による消火活動に改善をもたらし、彼らの命、そして、彼らが救える命を少しでも増やすために行うもので、まさしく「人々の安全を守る」というULの理念に順じた活動と言えます。

 ULの安全に対する思いは、CSR活動にも表れています。
その一つが、ディズニー社と協力して作成した、ライオンキングのキャラクターが安全な生活の仕方を楽しく教える子供向けの教育ビデオです。
“Wild About Safety”と名付けられたこのビデオ・シリーズは日本語でも視聴可能で、インターネットでご購入いただけます。
日本では、全国の中高生が科学技術・理科・数学などの難問と実技競技にチームで挑み、競い合う「科学の甲子園」に協賛しているほか、UL Japan本社(三重県伊勢市)の周辺地域の中高生を対象に、安全に関する英語スピーチコンテストを開催するなど、未来を見据えた活動を行っています。

”Wild_About_Safety”シリーズ

”Wild_About_Safety”シリーズ

 こうしてULは、一世紀の時を経て培ってきた実績と知見を、様々な場面に展開することで、「より安全・安心な世界」を構築する一助になりたいと考えています。

 第一話でご紹介した創設者メリルの「生命や財産を脅かす危険から人々を守りたい、人々のために安全な生活/職場環境を作りたい」という思いは、この第二話と三話でご説明した様々な活動につながり、今のULを築いています。
島津テクノリサーチとの新合弁事業、UL島津ラボラトリーを通じて、ULは今後も、世界のお客様に幅広いサービスを提供いたします。「より安全・安心な世界をめざして」、ULの活動は深化・拡大し続けていきます。