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バイオディーゼル燃料技術検討への取り組み

概要

■バイオディーゼル燃料の性状試験について

 バイオディーゼル燃料(BDF;Bio Diesel Fuel) は、エネルギー起源CO2 の排出を伴わない再生可能なエネルギーであり、温暖化対策の切り札として近年注目を集めています。BDF は、多様な物質の混合物であること、製造過程の違いから製品ごとに性状が大きく異なっています。そのため、燃料品質を把握するための性状試験は欠かせません。平成18 年に経済産業省から、軽油混合用100% BDF についての規格案(ニート規格)、同年JASO(社団法人自動車技術会) からも規格が出され、平成20 年にJIS が制定されました。

 

■技術検討への取り組みについて

 京都市では、「環境への負荷の少ない持続可能な街をつくる」ことを目的とし、使用済みの食用油を回収しバイオマスエネルギーとして有効利用する「バイオディーゼル燃料化事業」に平成9年度より取り組んでいます。
 平成24年度からは、「第二世代バイオディーゼル燃料化プロジェクト」が,環境省の委託事業(地球温暖化対策技術開発・実証研究事業) として、財団法人京都高度技術研究所、当社も含む産業界、京都大学などの学識経験者といった産学公の連携により実施されています。
 当社は、この京都市の事業に関わり、技術検討会の協力委員として分析技術の検討を担当しています。今後も、京都市等との連携の中で、こうした事業の全国に先駆けた実現に、分析技術で貢献します。

■第二世代バイオディーゼル燃料化プロジェクトとは

 第一世代のバイオディーゼル燃料は、廃食用油にメタノールを加えてアルカリ触媒法により脂肪酸メチルエステル(FAME)に変換したもので、京都市では、市バスやごみ収集車などに利用されてきました。
 しかし、第一世代のバイオディーゼル燃料は、特に、最近の新型ディーゼル車両での適合性で技術的課題を引き起こし大きな課題となっていました。また、原料として動物性油脂なども利活用が困難でもあり、燃料供給量の拡大の観点からも課題がありました。

本研究プロジェクトは、これらの課題を克服するため、

触媒による多様な動植物油脂からの脱炭酸・開裂反応により炭化水素系の、軽油と同等のカロリーや沸点の燃料特性を持つ分解油(第二世代バイオディーゼル燃料)を生成
この分解油に残存する二重結合など不安定要因になる成分などを低減する分解油の水素改質
冬季の結晶析出防止等品質の安定化を図る添加剤調整など車両への円滑利用システム開発

 などにより、多様な動植物油脂から車両適合性のある第二世代バイオディーゼル燃料化を図るとともに、バイオディーゼル燃料利活用普及拡大に向けて、回収システムの検討(モデル地域での社会実験)、制度改革を含めた社会システムを検討・提案しようというものです。

関連情報

学会発表

高菅卓三、倉谷和代、松下正和、中村一夫:
第二世代バイオディーゼル燃料化技術に関する燃料の詳細分析と評価、
第22回環境化学討論会(2013,7.31-8.2東京農工大)

高菅 卓三、 倉谷 和代、 松下 正和、 中村 一夫:
第二世代バイオディーゼル燃料化技術に関する燃料の詳細分析と評価(その2)
第23回環境化学討論会(2014,5.14-5.16京都大)

高菅 卓三、倉谷和代、松下 正和(島津テクノリサーチ)、中村 一夫((公財)京都高度技術研究所):
第二世代バイオディーゼル燃料化技術に関する詳細分析の知見と評価、
第24回 廃棄物資源循環学会研究発表会 講演集 385)(北大;11月,2013)

Takumi Takasuga1、 Kazuyo Kuratani1、 Masakazu Matsushita1 and Kazuo Nakamura2
Detailed chemical analysis and evaluation of second generation bio-diesel fuel.
3R International Scientific Conference (3RINCS) 2014 10,Mar,Kyoto University
Special Session of Biomass Utilization Challenges by ASTEM

20210421