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低濃度PCB廃棄物に関する測定

概要

 PCB廃棄物は、PCB濃度が5,000mg/kg(ただし汚泥、紙くず、木くず、繊維くず、廃プラスチック類については100,000mg/kg)を超える高濃度PCB廃棄物とそれ以外の低濃度PCB廃棄物に分類されます。両者は処理できる施設が異なり、低濃度PCB廃棄物は、低濃度PCB廃棄物の無害化処理認定施設での処理が必要となります。処理するためには、あらかじめ PCB 含有量を測定し、上限濃度以下であることを明らかにしておく必要があります。
 当社では、PCB廃棄物分析の豊富な実績と高度な技術を有しています。 特に低濃度PCB廃棄物としての廃塗膜中PCB分析や感圧複写紙(ノンカーボン紙)中のPCB分析については いち早く測定法の開発に取り組み、実績も豊富です。

PCB廃棄物等については「PCB廃棄物の処理に伴う分析」もご覧ください。

特長・用途

低濃度PCB廃棄物とは

 低濃度PCB廃棄物としては具体的に表1に示す汚染物などが該当します。

 表1 低濃度PCB廃棄物の区分

  低濃度PCB廃棄物
I 微量PCB汚染廃電気機器等 II 低濃度PCB含有廃棄物
(1)低濃度PCB廃油 微量PCB汚染絶縁油
(電気機器又は OFケーブルに使用された絶縁油であって微量のPCBに汚染されたもの)
低濃度PCB含有廃油
(PCB濃度が 5,000mg/kg 以下の廃油等)
(主として液状物)
(2)低濃度PCB汚染物 微量PCB汚染物
(微量PCB汚染絶縁油によって汚染されたもの)
低濃度 PCB 含有汚染物※
・PCB濃度が100,000mg/kg以下の汚泥、紙くず、木くず、繊維くず、廃プラスチック類
・金属くず、陶磁器くず、コンクリート破片等の不要物(金属くず等)に付着したもののPCB濃度が 5,000mg/kg以下のもの
(主として固形物)
(3)低濃度PCB処理物 微量PCB処理物
((1)イ、(2)イを処分するために処理したもの)
低濃度PCB含有処理物
(PCB廃棄物を処分するために処理したものであって、PCB濃度が5,000mg/kg 以下のもの(金属くず等は付着物のPCB濃度)

 (出典:「低濃度PCB廃棄物の処理に関するガイドライン-焼却処理編-」(令和2年10月改訂))

 

低濃度PCB汚染物の該当性判断基準については、2019年3月に環境省から「低濃度 ポリ塩化ビフェニル汚染物の該当性判断基準について(通知)」(平成31年3月28日、環循規発第1903283号、環循施発第 1903281号)が発出されました。
これは、低濃度PCB汚染物の判断基準を通知したものです。塗膜くず等PCBを含有する廃棄物であり、PCBを含む油が自由液として存在しない(油が液体状態として確認できない)場合に関しては、PCB含有濃度が 0.5mg/kg以下となる場合は、低濃度PCB汚染物に該当しない旨が記載されています。
http://www.env.go.jp/recycle/1903283.pdf [環境省HPへ]

法規制・規格

調査方法について

 環境省及び経済産業省より2022年に「低濃度PCBに汚染された電気機器等の早期確認のための調査方法及び適正処理に関する手引き」が示されています。

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PCBの規制について

 2013年2月、環境省HPで「低濃度PCB廃棄物の処理に関するガイドライン-焼却処理編―」(平成25年2月改訂版)が公表されました。(その後、2019年12月及び2020年10月に低濃度PCB廃棄物の定義が変更されたことにより、改訂が行われました) 。

「低濃度PCB廃棄物の処理に関するガイドライン-焼却処理編-」(令和2年10月改訂) https://www.env.go.jp/recycle/recycle/poly/syokyaku201028.pdf [環境省HPへ]

ガイドラインには、低濃度PCB廃棄物の安全かつ確実な無害化を進めるため、廃棄物の処理及び清掃に関する法律その他の関係法令に定められている焼却処理に係る基準等の遵守に関する事項の他、処分状況や維持管理の状況に関する情報公開の方法に関する事項などが具体的に示されています。
 当社はガイドライン及び「PCB廃棄物の処理作業等における安全衛生対策要綱」に沿った各種測定(PCB及びダイオキシン類の作業環境濃度の測定や血中のPCB及びダイオキシン類の濃度測定など)を実施しています。

低濃度PCB廃棄物の処理期限について

 「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理推進に関する特別措置法」に基づく国のポリ塩化ビフェニル廃棄物処理本計画(2019年12月20日に改正)では、保管事業者は低濃度PCB廃棄物について、2027年3月31日までに処分委託を行わなければならないとされました。

分析・試験方法

低濃度PCB廃棄物の測定方法

 低濃度PCB廃棄物の処理にあたり、排出事業者は、事前に低濃度PCB廃棄物中のPCB濃度等を確認することが必要です。 環境省からは、2013年2月に「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第1版)」が示されました。
 それ以降の改正は以下の通りです。

〇第2版(2014年9月) 分析精度管理に関する特記事項が追加されるとともに、対象に塗膜くず(廃塗膜)が追加。
〇第3版(2017年4月) 対象に廃感圧紙が追加。
〇第4版(2019年10月) 低濃度PCB汚染物に該当するか否かを判定する方法が追加されるとともに、対象にシーリング材が追加。
〇第5版(2020年10月) 可燃性のPCB汚染物等のPCB濃度が100,000mg/kg以下であるか否かを確認するための分析方法等が追加。

「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第5版)」
https://www.env.go.jp/recycle/poly/manual/teinoudo_ver5.pdf[環境省HPへ]

対象となる試料および試験方法は、以下の通りです。

  • 紙くず、木くず、繊維くず、廃プラスチック類(合成樹脂くず、合成ゴムくず等)(含有量試験)
  • 廃活性炭(含有量試験)
  • 汚泥(含有量試験)
  • 廃プラスチック類 (表面拭き取り試験)
  • 金属くず(表面拭き取り試験)
  • 金属くず(表面抽出試験)
  • コンクリートくず(表面抽出試験)
  • 塗膜くず(含有試験)
  • 廃感圧紙(含有量試験)
  • シーリング材(含有試験)

一例として、1.紙くず、木くず、繊維くず、廃プラスチック類(合成樹脂くず、合成ゴムくず等)(含有量試験)

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図1 紙くず、木くず、繊維くず、廃プラスチック類(合成樹脂くず、合成ゴムくず等)(含有量試験)のフロー

なお、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理推進に関する特別措置法」の改正に伴い、2016年7月29日に施行令等の改正が行われ、高濃度PCB廃棄物に係るPCBを含む油の検定方法※1及び、その他の高濃度PCB廃棄物の検定方法※2が示されています。当社は、これらの方法にも対応しています。

※1 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法施行規則第三条及び第六条の規定に基づき環境大臣が定める方法 (平成28年7月 環境省告示第74号)
※2 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法施行規則第四条第二項及び第七条第二項の規定に基づき環境大臣が定める方法(平成28年7月 環境省告示第75号)

 

その他のPCB分析方法

他に以下のようなPCB分析方法についても、対応可能です。

「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法」(平成4年7月3日 厚生省告示第192号)
告示第192号別表第二、告示第192号別表第三の第一、告示第192号別表第三の第二、告示第192号別表第三の第三、告示第192号別表第四
「産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法」(昭和48年2月17日環境庁告示第13号)
作業環境、及び周辺環境大気の測定
作業者の血液分析
「PCB 廃棄物処理施設解体撤去実施マニュアル」に沿った調査
https://www.jesconet.co.jp/business/page_00021.html

実績

研究実績

 PCBに関する測定分析技術を活かし、低濃度PCB廃棄物の測定法開発に取り組んでいます。
 その内容を以下の通り発表しました。

1. 廃塗膜中PCB分析方法の開発についての発表
 

岩田 直樹,本田 聖人,中井 勉,井上 毅,高菅 卓三(島津テクノリサーチ), 野馬 幸生(国立環境研究所)

「低濃度PCB廃棄物としての廃塗膜(塗膜くず)に関する研究 (その3)」 第30回廃棄物資源循環学会研究発表会(仙台;2019)
 詳細はこちらへ>>

 

岩田直樹

「橋梁等の鋼構造物における旧塗膜除去有害質調査対応」 一般社団法人 日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会 第22回技術発表会(東京;2019)
 詳細はこちらへ >>

 

岩田 直樹,林 篤宏,井上 毅,高菅 卓三(島津テクノリサーチ), 野馬 幸生(元福岡女子大学)

「低濃度PCB廃棄物としての廃塗膜(塗膜くず)に関する研究 (その2)」 第26回廃棄物資源循環学会研究発表会(福岡;2015)
 発表要旨はこちらへ >>

 

岩田 直樹,岡田淳,林篤宏,井上毅,高菅卓三(島津テクノリサーチ),野馬幸生(元福岡女子大学)

「低濃度PCB廃棄物としての廃塗膜(塗膜くず)中PCB分析方法の開発 第三報」 第24回環境化学討論会(北海道;2015)
 発表要旨はこちらへ >>

 

岩田直樹,林篤宏,井上毅,高菅卓三(島津テクノリサーチ),野馬幸生(福岡女子大学)

「低濃度PCB 廃棄物としての廃塗膜(塗膜くず)中PCB 分析方法の開発 第二報」 第23回環境化学討論会(京都;2014)
 発表要旨はこちらへ >>

 

岩田直樹,林篤宏,井上毅,高菅卓三(島津テクノリサーチ),野馬幸生(福岡女子大学)

「低濃度PCB 廃棄物としての廃塗膜(塗膜くず)に関する研究」 第24回廃棄物資源循環学会研究発表会(北海道;2013)
 発表要旨はこちらへ >>

 

岩田直樹,林篤宏,井上毅,高菅卓三(島津テクノリサーチ),野馬幸生(福岡女子大学)

「低濃度PCB廃棄物としての廃塗膜中PCB分析方法の開発」 第22回環境化学討論会(東京;2013)
 発表要旨はこちらへ >>

2.

感圧複写紙(ノンカーボン紙)の測定方法についての発表

(「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法」で現時点対応できていない、 感圧複写紙(ノンカーボン紙)の測定に関して検討を実施した所、「代表性を保った採取」と、 「マイクロカプセルを壊すための試料下処理」が重要であること等が明らかとなりました。)

 

岩田直樹,林篤宏,井上毅, 高菅卓三(島津テクノリサーチ)

「低濃度PCB 含有廃棄物の測定に関する検討」 第23回環境化学討論会(京都;2014)
 発表要旨はこちらへ >>

 

岩田直樹,林篤宏,井上毅,高菅卓三(島津テクノリサーチ)

「低濃度PCB廃棄物としての廃感圧複写紙(ノンカーボン紙)中PCB分析方法の検討」 第25回環境化学討論会(新潟;2016)
 発表要旨はこちらへ >>

 

岩田 直樹,林 篤宏,井上 毅 ,高菅 卓三(島津テクノリサーチ),野馬 幸生(元福岡女子大学)

「低濃度PCB廃棄物としての廃感圧複写紙(ノンカーボン紙)中PCB分析方法の検討 第二報」 第26回環境化学討論会(静岡;2017)
 発表要旨はこちらへ >>

当社は、測定方法策定ワーキングにも参画しており、いち早く分析体制を確立しています。 納期や価格、ご依頼方法については、お気軽にお問い合わせください。 

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